恐怖!!うどん処 みどり子

@Onlyone00001

怪人と殺人ロボット

世界のテクノロジーの発達は目まぐるしい

それは人工知能、医療技術、工業技術か....

話題を上げるとキリがない

だからここでこの世界の最先端を往く技術を紹介する。

"人型アンドロイド"

その存在の誕生によって世界は大きく変化した

仕事の片代わり、雑用、友人代わり....

全てが人間の思うがままに操れる人間だ

感情を持たない鉄の塊に面倒事を押し付けられる

その世界の姿はまるで理想郷だった


しかし、神様はそれを許してはくれなかった


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「探知 アリ 」

「特定中....」


夜空に轟轟しいブースターの音が響き渡る

深夜にも関わらず、容赦なく吹かされる轟音に人々はきっと腹を立てているだろう。

だがある特定の人々はこの音を聴くと心臓が痛む。


10日程前、この電気理想郷が震え上がる大事件が起きた。


「無人うどんチェーン店 爆破テロ 全滅」

検索サイト、SNSのトレンド等はこのワードで埋め尽くされた。

これらの単語は独立したものでは無い、むしろそのまま繋がっている。


日本の無人うどんチェーン店が全て一斉に爆破されたのだ


おそらくは、ここ数年で最も大きい犯罪である。

この理想郷の秩序はアンドロイドによって保たれている。当然人間よりも優秀な、24時間アンドロイドだ。それなのにどうしてこんな大掛かりなテロが成功してしまったのか...

答えは簡単だ


これは技術の進化の代償か、はたまた神の怒りなのか....


この事件はたった1体のアンドロイドによって起こされたのだ


その名は「GPD_man4274」 CATDEATHMETEOR社(以下、猫隕石社と呼ぶ)による警備アンドロイド GPDシリーズである。


諸説アリだが、ある日人間用の食べ物を食べて自我が芽生えたんだとか...

その店が大手チェーン店に潰され、復讐に燃えたんだとか....


とにかく その事件が起きた時、世の中のアンドロイドは全く役に立たなかった

全てのデータベースが操作され、GPD_man4274はどのアンドロイドにも認識されていなかったのだ


....では、事件の犯人は闇の中なのか?


それは 否 だ


事件が起きてから3時間後、テレビ局がハックされ、ある生放送が映された

仮面の少女....GPD_man本人の生放送だ



「ゴキゲンヨウ」


隣に飛行しているNintendo DSのようなデバイスのモニターに、文字がそう映し出された


猫隕石社によるとGPDシリーズには声を発する機能はなく、このモニターの文字でのみ会話が可能らしい


「ウドン屋 潰シタノ ワタシ ダ」

「コレハ ケイコク」

「明日カラ 有人ノ ウドン屋」

「同ジヨウニ 破壊スル」

「デハ シツレイ」


それは僅か1分の生放送だった

しかしそれは本人だと信じるに十分値した

後ろにはうどんチェーン店の本社がビルごと壊滅していたのだ

その生放送の現場に偶然立ち合ったメディア、一般人が居た為、その映像がフェイクだという可能性も皆無


生放送後、命が惜しい全国の有人うどん屋は、次々と店を畳むのだった.....



しかしここに命が惜しくないのか、なんとうどん屋を始めた奇人がいるではないか!?


「なかなか来ませんわね....例のアンドロイド...」

「よいしょ...これ付けたら気付いてくれますかね...?」


森の奥の豪華な屋敷の入口に、酷く雑に作られた全く屋敷に似合わないのれんを飾りながら厄災を迎えようとする奇人


その奇人の名は、みどり子

ワイシャツの裾をズボンにインした妖怪の一種であり、他人の屋根裏に住み着いたり、こんにゃくを投げつけたり オゾン層付近から落下しても一時期な記憶喪失で済んだりなど。こちらも常識が通じなさそうななにかである

「もとよりわたくしはうどん屋さんなんて興味はないのですけれどねっ!」

「うふふ...楽しみですわ....」


そうこう言ってる内に、形だけのうどん処「みどり子」がレーダーに引っかかった


「.....?」

「(メニュー ナシ 本日 オープン)」

「(フザケテルノ?)」

「(...マアイイ 壊スカ...)」


複数箇所おかしな部分はあるが、うどん屋と名乗る以上放ってはおけない


ギュオオオオオオオオ!!!!!


足に取り付けたブースターを上空に向け、約2トンの鉄の塊が屋敷の上空から急降下する


が、その途中

どこからもなく飛んできた高速の錆びたマチェットが真横からGPDmanの脇腹を叩く

「(.....!?)」


"小振りなマチェットが2トンの物質を吹っ飛ばす"

その光景は誰が見ても異常だろう


当然、叩かれた本人も驚きを隠せない。


奇っ怪な錆びたマチェットは命中した後、ブーメランの要領で持ち主の手元へ帰った

その持ち主は....


「うどん屋を名乗るだけで壊しに来るアンドロイドがいるって噂は、本当だったのですねえ」


奇人だった


「ちょうどよかったですわ、この綺麗な屋敷にメイドさんを用意したい所でしたの」

「改造してわたくしの専用アンドロイドにして差し上げますわ」


「.....」

「ワタシ 使命 果タス」

「コンナ所デ 終ワル訳ニ イカナイ」

「屋敷ゴト 消シ去ル」


いよいよ戦闘モードと言ったところか、GPDmanの腕からは光波ブレード伸びて ブォンブォンと振り回しながらブースターで急接近する。


「あらあら野蛮なこと...」


光波ブレードを紙一重で躱しながらマチェットで反撃するみどり子

しかしそのマチェットが異常な事は先刻身を持って味わったGPDman

マチェットが振りかぶられた手首を抑えて無力化を狙う


「あら、」

「モラッタ」


抑えている手首を超高熱にしてマチェットを持つ手ごと焼き切る、いかにもロボットらしい攻撃を仕掛ける


しかしそれも叶わず

GPDmanの目の前にはみどり子の顔面が急接近していた


ガィィィィィンンン!!!!


「(!?!?)」

「(何ガ....起キタ.....)」


「"機械は叩けば直る"と、じいやから教わりました」

「わたくしの全力ヘッドバッドで、なんとかなると思ったのですが...」

「あいたたたたた...!!」

「ほんとにアンドロイドなのですね...頭で叩くもんじゃありませんわ」

30年程前のアイドルのようなわざとらしいリアクションを取りながら殺人マシンを圧倒する


そんなみどり子とやっと衝撃から回復したGPDmanは、今の一撃でGPDmanのマスクが割られた事に双方気付く


「あら....お顔、ちゃんとあったんですわね」

「(マズイ....)」

「(コノ顔 人間ノ生活用....)」

「(顔ガ割レタラ)」

「(オ蕎麦屋サン 行ケナクナル....!!!!)(涙)」


「オマエハ 生カシテ 帰サナイ」


怒りと焦りの表情のGPDmanは、何やら小型デバイスで通信を行っているようだ


「(CATDEATHMETEOR社と接続中.....)」

「猫隕石要請卍!!」


GPDmanが小型デバイスに何かを送信した後、辺りに警報が鳴り響く

「クタバレ!!!」


突如上空から謎の巨大物質が落下してくる

それは...猫型の巨大な隕石だった、それも10個の。


「んなァーーーっ!?!?」


流石のみどり子でもこれは驚かざる得ない

猫型隕石は屋敷とみどり子目掛けて無慈悲に降り注いだ


結果、周辺2kmは大きなクレーターと化した

当然、屋敷とみどり子は無事ではなく....



煙の奥から生物反応を検知したGPDman

そこには.....



「し....死ぬかとおもいましたわ...」


なんと巨大なこんにゃくがみどり子と屋敷を包み込み、その内側は全くの無傷。

馬鹿げている、こんな事があってたまるのか。

だが、相手はあの奇怪人みどり子である、常識なんざとうに消え去っている。


「それっ!」


呆気にとられたGPDmanの足元にはこんにゃくで出来た魔法陣のようなものが張り巡らせられていた

みどり子の合図と共にそのこんにゃくは発光し、まるで魔術の様に何も無い空間からこんにゃくが生成され、GPDmanを拘束した。


「捕獲完了ですわ!!ヨシ!!」

「...!!.....っ!!!!!」


「無駄ですわ、そのこんにゃくは誰にも千切れませんわ」

「さて....捕獲したはいいものの....」

「わたくし、機械苦手なんですよねえ...また叩いてみれば変わるかしら?」


「....あっ!そうだ!」


「巨大なバズーカとドリルを両腕に構えたメイドロボットに改造する予定なので、わたくしが改造したらきっともう食べ物を食べれなくなるかと思って」


「最期に好きな物くらい食べさせてあげようかなって思ったんです!はいどーぞ!」

「恥ずかしながら、わたくしお手製の蕎麦湯ですわ、蕎麦がお好きと聴いたので...」


「......」

「オマエ ウドン屋 デショ?」

「いえ、それはあなたを釣る為のウソですわ」

「そもそも、わたくしが好きなのはおでんで....」

「ああでも、麺の中じゃ蕎麦は1番好きかもしれませんわね。召し上がってくださいな」


もう一度差し出された蕎麦湯をじっくり見るGPD_man


「.....(識別中)」

「(結果....ホンモノ!!!)」



バ リ ィ ! ! !

「なっ....!?」


GPDmanは"誰にも千切れない"と言われた魔法のこんにゃくを素手で引きちぎり、その蕎麦湯を手にした。

味わいつつも急いで飲み、普段のポーカーフェイスとは打って変わって、極楽にいるような幸せな顔をしている。


あまりに美味しそうに味わってくれているので驚きつつも少し嬉しい気持ちのみどり子だが、ここは心を鬼に言い放つ


「まさかこんにゃくを引き千切る力を持っていたなんて....」

「やはりバラバラにして機能停止するしかないのですわね....」


錆びたマチェットを構えつつGPDmanに向かって歩いて行くが

そこにはこちらに向かってニコニコしながら正座するGPDmanがいた


「あら...?」

「戦う気は、無いんですの?」


「ソバユ ケッコウ ウマカッタ」

「ウマイソバ 作ルヤツ 悪イヤツ 違ウ」

「マタ来マス! ゴチソウサマデシタ!!」


明るい笑顔と合掌をすると、別のうどん屋を探しに空へと飛んで行ったGPDman


「.....」

あまりの急展開にみどり子も流石に絶句である

「で...でも...」

「"また来る"って書いてたし、専用アンドロイド、ゲット なのですかね....?」


一応は目的を果たせたみどり子なのであった

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