蛇足
「ただいま。文は…まだか」
二人が交際を始めてから10年目の今日、二人が暮らすこの家でパーティをする約束をしていた。
芳信がリビングに入って、電気を点けると机の上に丸められた紙が置いてあるのが見えた。
「あ?今朝、捨て忘れたのか?」
不審に思いながら手に取ると、付箋が貼ってあるのが見えた。
『片づけをしないなんて芳信らしくもない。然るべきところに出すように』
懐かしさと同時に、寒気を覚えた芳信は、恐る恐る紙を開いて中身を確認した。そしてぼやく。
「マジかよ。ちゃんと机に仕舞ってたよな、俺。つーか、こんなくしゃくしゃになってて、きちんと受理されんのかよ。」
手紙 馬瀬暗紅 @umazeankou
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