別。

「ばいばーい」

 空ちゃんは一言。

「じゃあね」

 と返す私。

 手を振って。

 お別れをした。

 私は旅をする。今から。

 水がある場所を巡る、長い長い、長い旅。一生かけても終わるかどうかわからない。

 水に願う旅。

 水に棲む誰かを探して。

 いつの日か水になれることを。

 信じている。

 空ちゃんは。

 空ちゃんは。

 中学を卒業して、この春から高校に通う。

 高校を卒業して、それから大学を目指すのだそうだ。そこで、空を学ぶ。

 まずは、知ることにしたらしい。

 なるほど良い考えだと思う。

 私は私。

 空ちゃんは空ちゃん。

 それぞれがそれぞれで、どれも間違いではない。正解かどうかは、わからないのだけれど。 

 兎にも角にも。

 これが、私たちの選んだ道。

 私は水になるために。

 空ちゃんは空になるために。

 これが。

 願った末の、求めた末の。

 後はもう、私はただ水のように。

 知らない町を、知らない国を。さらさらと流れてゆこう。

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水少女。 識織しの木 @cala

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