日本内戦

大佐

第1話 学校

 2034年2月27日大阪

 未だに朝は寒く、息は白くなって消えていく。この学校のように。

「学校はガキの時以来だな」

 10年前は俺も鞄を背負って急いで通学してたもんだ、今は鞄だけではなくこの89式も一緒だが。

 玄関から廊下へ出て、俺は真っ先に職員室を探した。職員室はとかは大体一階にあるもんだ。

 割れた廊下の窓から寒い風が入ってきて、震えていたがすぐにどうでもよくなった。

「ビンゴ」

 やっぱり一階にあった。ドアを開け、中を見渡す。机がこれでもかってほど並んでいてその上には書類やファイル、パソコンがある。

「誰も漁ってないな、ラッキー!、動くパソコンあったりするかな?」

 持って帰れそうなノートパソコンやタブレットをバックへ入れていく。途中、画面にクラス写真などが写ったが、まじまじと見ることもなく鞄へ放り投げた。

 書類からみるに内戦起きてすぐに、休校にしたようだ。避難所や基地になった後もなく、あまり内戦の傷跡はなかった。

「さてと、次は鍵だな」

 学校に来たのは、昔を懐かしむためでもなく、先生方を困らすだけでもない。そう、学校には災害時用の食料があるのだ。それらしい鍵たちが壁に引っかかって並んでる。

「あれ?」

 災害用備品倉庫とテープが張られた上のフックを見るが何もかかっていなかった。

「仕方ないな」

 まぁ学校のドアだ、最悪ドア窓を割って内側から開けるか、ドアを蹴り飛ばしてあければいい。

 風がきつい廊下に出て倉庫を探す、こういう倉庫も多分一階にあるはずだ。外にあるのはめんどくさいが。

 一番寒い玄関を越え、職員室の反対側の廊下に入った時、物音が聞こえた。最初は気のせいかと思ったが、ガサガサと音が聞こえる。

「いるな」

 心の声でそう言い、音を出さないように89式を構えた。セーフティが[タ]になってることを確認し、バックを下ろし、物音がする部屋に近づく。気になってなんの教室か確認したら、災害用備品倉庫だった。

「さきに漁ってるやろうがいる」

 怒り、グリップを強めに握る。ドアが開いているのを確認し、壁に張り付く。まだ気が付いていないようだ。一瞬のぞいたが、敵はドアからまっすぐ先にある段ボールを漁っているようだ。中に入らなくてもここから後ろを撃てる。緊張で少ししか見えなかったため、銃を持っているかなど確認できなかった。もし銃を持っているなら、弾は外せない。外せば銃撃戦になる。町の中で撃ち合いはほかのやつも引き寄せるからなるべく避けたい。ここは飛び出てすぐに決める。

 一気に飛び出しドアから撃つ、敵の背中に見事命中し倒れる。すぐさま近寄り、死んでいるか確認する。

「子供だ…」

 少年が死んでいた。備品のクラッカーを握りしめて。

 頭の中に、職員室で見たクラス写真が頭によぎる。今まで人を何人も殺してきたが、子供を撃ち殺したのは初めてだった。少し息が詰まる感覚があったがすぐに消えた。

 黙って、握りしめているクラッカーを奪い取り、いつも通りポケットを漁る。 

 ズボンのポケットに拳銃のマガジンが二つ入っていた。まさかと思い少年のジャンバーをどけ、腰回りを確認するとグロックが一丁ささっている。こう見ると殺してもよかったかもしれないと、ほんの少しきが楽になった。

 少年のバックからはこの倉庫から漁ったであろう、食料がたくさん出てきた。手際よく、少年の遺体から使えそうなもんを剥ぎ取り、少年のカバンはそのまま持って帰ることにした。

「よし」

 残りを備品を漁りおえ、帰ろうとしたとき。

「ガシャン!」

 と銃声と窓が割れる音がした。多分、複数人がフルオートで撃っている。すぐに構えようとしたが、体が痛く、熱く、そして倒れ、視界が暗くなった。 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日本内戦 大佐 @aiueo1221

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ