脚本

@shikimakot

試し

マッチ売りの少女…設定は原作通りで、そこに天然ドジっ子が入る。頑張り屋だが、大体の事柄が空回りし、悪い結果になってしまうことを気にしてる。

お地蔵様…かさこじぞうのお地蔵様。気持ちはいつまでも18歳。SNSにハマっており、常にSNSに上げるためのネタを探しているが、近辺が田舎すぎるためいつも暇してる。オフトオンの差が激しく、人間から利益がないとき(オフ)はラフな口調で、軽いノリ。


少女「マッチ〜…マッチは要りませんか〜…」

  「誰もいない…街で売ってもみんな買ってくれなかったからこの山まで来たけど、山に人がいないから誰も買ってくれないなぁ…」

  「雪もひどくなってきたし、一回雪が防げるところを探して休もう…あ、あそこに笠をかぶったお地蔵様がいる!大きめの笠だから、雪が防げそう!」

  「失礼します…うう、でもまだ寒いなぁ。マッチをつけて暖まろう。(つける)はあ〜暖かい…お地蔵様も寒そうだから、丁度いいよね。あ、笠につけたら、いつもより暖かくなるかな。よいし」

お地蔵様「いやいやいや待って待って!正気!?正気なの!?百歩譲ってここで雪を凌ぐのはいいけど燃やすって何!?我お地蔵様ぞ!?」

少女「す、すみません!…って、お地蔵様がしゃべった!?」

お地蔵様「そりゃしゃべるよ!自分の被り物に火をつけられようとして黙っているお地蔵様なんていないから!」

少女「はっ…そっか、人のもの燃やしたらダメだよね…すみません、すぐ出て行きます」

お地蔵様「いや、ここで雪を凌ぐのはいいけどさ、突飛な行動はよしてよね。仏の顔も三度までとは言うけども、酷すぎだら流石に見過ごせないから、全く…。(写真を撮る音)“女の子に帽子燃やされてる、なう“っと…燃やされてはないけど、いっか。こっちの方が反応ありそうだし」

少女「お地蔵様、何してるんですか?」

お地蔵様「何って、SNSだよ。君若いのに知らないの?スマホとかでインターネットに繋いで、会員登録して色んな人と繋がるの。んで、自分の日常を呟いて誰かに見てもらったり、誰かが呟いたことを見たりできる場所だよ」

少女「私、すまほ?持ってないからわかんないです」

お地蔵様「え!?…まぁそっか。ここでマッチ売りに来るような境遇だから仕方ないか」

少女「街に出ると、みんなそれ持ってるね。楽しいの?」

お地蔵様「まあね、だからやってるわけだし…そうだ、君もやってみる?」

少女「え!?いいの!?」

お地蔵様「いいよ。はい、ここを押したらスマホの電源がつくから」

少女「わっ…えっと、ここを押すと……ほんとだ!光った!」

お地蔵様「そうそう、次にここ押して。そしたらSNSのアプリが開く」

少女「開いた…」

お地蔵様「で、ここのボタン押したら呟けるよ。せっかくだし、写真載せてつぶやこうか」

少女「しゃ、しゃしん?どうやるんですか?」

お地蔵様「本当に何も知らんのね…この四角い所押して、そしたら俺が携帯に映るでしょ」

少女「え!?お地蔵様がすまほの中にいるー!」

お地蔵様「下の丸いボタン押したら、写真が撮れるから」

 カシャっ

少女「……雪が、止まってる…」

お地蔵様「これが写真ね。で、ここのボタン押して、文章入力は…俺がした方がいいかな、ちょっと貸してね」

少女「は、はい」

お地蔵様「えっと…“通りすがりの女の子に写真撮ってもらった、雪まじひどい“でいいかな。投稿っと」

少女「呟けた?」

お地蔵様「うん。ほら、こうやって呟けんの……でも伸びないなぁ、燃やされてる呟きもいいねが10しかない…」

少女「いいね?」

お地蔵様「あーえっと、誰かの呟きに共感したり、好きだなとか思ったら、いいねってボタンを押すんだよ。呟きに百とか千とかいいねがついたらバズったっていうんだけどさ、俺の呟きなかなか見てもらえないんだよね」

少女「SNSの世界も辛いんだね……お地蔵様は、いいねがたくさん欲しいの?」

お地蔵様「そりゃあね。なんでこんなつかないんだろうなー…」

少女「じゃあ、私がお地蔵様のお手伝いする!」

お地蔵様「え?」

少女「お地蔵様は困ってるところを助けてくれたから、今度は私がお手伝いする番!」

お地蔵様「お手伝いって…なんの?」

少女「お地蔵様の呟きに、たくさんいいねがつくようにお手伝いする!確か、日常のことを呟けばいいんだよね?」

お地蔵様「そうだけど…君に何ができるの?今までやったことないでしょ?」

少女「確かに今のが初めてだけど…私にもできることが、きっと何かあるよ!」

お地蔵様「ふーん…じゃあやってみ。基本的な操作はさっき言った通りだから、はい」

少女「うん!えっと、確か、ここで写真取れるんだよね。みんながみるものなら、多分、写真の方がいいよね!」

お地蔵様「この山奥で、どんな面白い写真が撮れんの?」

少女「うーん…お地蔵様の写真とか?」

お地蔵様「前にあげたけどいいね3しかつかなかったよ」

少女「じゃあ、この雪景色とか!」

お地蔵様「雪降り積もってるだけじゃいい景色って呼べないでしょ」

少女「前に呟いたことあるの?」

お地蔵様「ないけど」

少女「やってみようよ!はい!写真を撮って…よし!」


暗転


お地蔵様「…はい、十分経ってもいいねなし」

少女「ええ〜…綺麗だと思うのになぁ…」

お地蔵様「みんなもっと刺激的なものが好きなんだよ。日常を呟くって言ったけど、みんな非日常的なもの求めるから、炎上スレスレ狙った方がウケるんだよね」

少女「非日常的なもの…あ、わかった!家を燃やしたらいいんじゃないかな!」

お地蔵様「なんでそういろいろなものを燃やしたがるの!?どう考えてもダメでしょ人の家燃やすのは!」

少女「あ…そっか、じゃあ家燃やす案はなしかぁ…。この暗さで家だけ明るくなったら綺麗だとは思ったんだけど…」

お地蔵様「流石にそれはやめようね、炎上スレスレどころじゃないよ、もう炎上してるよそれは」

少女「ええ〜…もう思い浮かばないなぁ………ごめんね、役に立てなかった」

お地蔵様「別にいいよ、鼻から役に立つなんて思ってなかったし」

少女「…私、いつもこうなの。何かやろうとしても失敗ばっかして」

お地蔵様「今のを失敗とは言わないと思うけど」

少女「私はただ、大事な人の幸せが欲しいだけなのに」

お地蔵様「…なんかやらかしたことあんの?」

少女「うん…前ね、友達が好きな子いるっていうから、手伝おうと思って。その好きな子に、友達が好きだよって言ってたって伝えたら、友達から無視されるようになったの」

お地蔵様「……」

少女「あと、お父さんが別の女の人といたから、みんなで仲良くできたらなと思って、お母さんにその女の人紹介したら、お母さんにすごく怒られたし」

お地蔵様「……」

少女「お母さんの手伝いをしようと思ってマッチ売り始めても、全然売れないし…本当、何にもできないね」

お地蔵様「……いやツッコミどころ多い!!」

少女「え?」

お地蔵様「まず好きな人バラされるのは公開処刑!あとお父さんと仲のいいその女性は…ってこれはダメか…ええと、あとマッチは今の時代売れないから当たり前!純粋に人のこと思って行動してるのはわかるんだけど、人の考えがわからなさすぎるんだな!」

少女「…ええと、ごめんなさい…早すぎてなんて言ってるかわからない…」

お地蔵様「あっごめん。つまりね、君は人の常識がわかってない!」

少女「ええ、そうなの!?」

お地蔵様「だからいつも行動が空回りするんだよ。でも君はまだ若いし、教えてもらってないことなんて誰もわからない。正直、常識なんて人の偏見の塊でしかないからね」

少女「うん…」

お地蔵様「行動が空回りしてしまうことを気にしすぎる必要はないよ。それに、君は言ったことをちゃんと治せるようだし、今はその自分を貫けばいいんじゃないかな。なんか言われたら、今みたいに都度直していけばいいよ」

少女「……そうなの?」

お地蔵様「そうだよ。人生そんなもんだって。俺、無駄に長くお地蔵様してきたわけじゃないから、わかってるところはわかってるって」

少女「…わかった。ありがとう、お地蔵様!」

お地蔵様「人生きばって生きるより、もっと肩の力抜いた方がいいよ、君の場合ね」

    「さ、雪も止んできたようだし、そろそろ街に戻りな」

少女「ほんとだ!止んでる!…また来ます!」

お地蔵様「ここに来ても何にもないけどね。人もSNS映えするものも何もないし」

少女「じゃあ、バイバイ!またねー!」

お地蔵様「うん、バイバーイ…って待って!?マッチの箱置いて俺の笠持っていかないでー!マッチ売りの子―っ!」

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