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「……!」


 急に顔が熱くなる。


 ……ん?


 ちょっと待って。


 今この人、「タカちゃん」って言った?


 それ、米泉先生のことだよね……?


 そうだ。よく考えてみれば、なんでこの人、米泉先生についてこんなに詳しいの?


 まさか……彼と不倫してる?


 私の顔が険しくなったのに気づいたのか、みっちょんは焦り顔になる。


「あ、そうか、私と彼の関係、話してなかったっけ、実は私、彼の……」


 そこでみっちょんは、ニヤリとしながら、言った。


従姉いとこなの。タカちゃんの父親の姉が私の母親。彼が生まれたての頃から知ってるわ。干支一回り離れてるけど、昔から仲は良かったわよ」


「……」


 なんか、一気に拍子抜けした。


 そうか。それなら彼のことをよく知ってるのも納得だ。


 みっちょんは続ける。


「話を戻すけど、あなたはタカちゃんの良き理解者になれそうね。だけど……さすがに教え子と教員がお付き合いするわけには……いかないわよねぇ」


「……!」


 私が、米泉先生と……お付き合い……?


 ちょっと待って。頭が真っ白。


 だけど……


 確かに心の中でそれを望んでいるような、自分がいる。


「でも、Maxwell と RIAM が、オンラインでのみ、お付き合いするのは……別に構わないんじゃないかしら。私、応援してあげてもいいわよ。卒業するまで二人がプラトニックな関係を貫くのであれば、ね。何を隠そう、私も高校時代は、今の夫の教え子だったから」


 そう言って、いわくありげにみっちょんがウインクする。


「ええー!」


 また、大声を上げてしまった……


---


 下宿に戻り、自分の部屋で、私はボーッとしたままだった。


 みっちょんが高校3年の時、新卒で赴任したのが今の彼女の旦那さんらしい。彼女は一目惚れをしたのだが、結局最後まで思いを伝えることは出来なかった。しかし4年後彼女が教育実習で母校を訪れたときに、とうとう彼女は告白したのだそうだ。その後なんやかんやあって、今に至る、と。


 ……。


 そんな話を聞いてしまうと、なんだか、米泉先生の顔が脳裏にちらついて離れなくなってしまう……


 ちなみに彼は、今では読み専の名無しユーザーとなっているという。と言っても名無しさんは沢山いるけど、あんやとさんがフォロワーになってる人がそうらしい。調べてみたらすぐに分かった。私の作品にも結構エトワールをくれている。コメントやスタンプは一つも無いけど。


 そうだ。


 先生のことを好きになってしまった女子高生の話、書いてみようかな。そしてシャケトワールに投稿しよう。


 例の名無しさんがそれを読んで何か反応してくれたら……その時は、私もお礼のコメントを返そう。そして……


 私の「オンライン禁断の恋」は、こんな風に始まるのかもしれない。

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オンライン禁断の恋 Phantom Cat @pxl12160

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