8
「……!」
急に顔が熱くなる。
……ん?
ちょっと待って。
今この人、「タカちゃん」って言った?
それ、米泉先生のことだよね……?
そうだ。よく考えてみれば、なんでこの人、米泉先生についてこんなに詳しいの?
まさか……彼と不倫してる?
私の顔が険しくなったのに気づいたのか、みっちょんは焦り顔になる。
「あ、そうか、私と彼の関係、話してなかったっけ、実は私、彼の……」
そこでみっちょんは、ニヤリとしながら、言った。
「
「……」
なんか、一気に拍子抜けした。
そうか。それなら彼のことをよく知ってるのも納得だ。
みっちょんは続ける。
「話を戻すけど、あなたはタカちゃんの良き理解者になれそうね。だけど……さすがに教え子と教員がお付き合いするわけには……いかないわよねぇ」
「……!」
私が、米泉先生と……お付き合い……?
ちょっと待って。頭が真っ白。
だけど……
確かに心の中でそれを望んでいるような、自分がいる。
「でも、Maxwell と RIAM が、オンラインでのみ、お付き合いするのは……別に構わないんじゃないかしら。私、応援してあげてもいいわよ。卒業するまで二人がプラトニックな関係を貫くのであれば、ね。何を隠そう、私も高校時代は、今の夫の教え子だったから」
そう言って、いわくありげにみっちょんがウインクする。
「ええー!」
また、大声を上げてしまった……
---
下宿に戻り、自分の部屋で、私はボーッとしたままだった。
みっちょんが高校3年の時、新卒で赴任したのが今の彼女の旦那さんらしい。彼女は一目惚れをしたのだが、結局最後まで思いを伝えることは出来なかった。しかし4年後彼女が教育実習で母校を訪れたときに、とうとう彼女は告白したのだそうだ。その後なんやかんやあって、今に至る、と。
……。
そんな話を聞いてしまうと、なんだか、米泉先生の顔が脳裏にちらついて離れなくなってしまう……
ちなみに彼は、今では読み専の名無しユーザーとなっているという。と言っても名無しさんは沢山いるけど、あんやとさんがフォロワーになってる人がそうらしい。調べてみたらすぐに分かった。私の作品にも結構エトワールをくれている。コメントやスタンプは一つも無いけど。
そうだ。
先生のことを好きになってしまった女子高生の話、書いてみようかな。そしてシャケトワールに投稿しよう。
例の名無しさんがそれを読んで何か反応してくれたら……その時は、私もお礼のコメントを返そう。そして……
私の「オンライン禁断の恋」は、こんな風に始まるのかもしれない。
オンライン禁断の恋 Phantom Cat @pxl12160
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます