第41話
アズとカノコと3人でコンビニに寄ったりふらふらしてから学校へ行ったから、教室へ入った時にはもう矢代は席に座っていた。
何人かの男の子たちとおしゃべりしていて、矢代は私が席に座ったのを知ってちょっと笑った。
私も同じようにちょっと笑って、ついでにその男の子たちに「おはよー」と声をかけ、いつも通りにバッグから荷物を取り出す。
「はるみ、昨日のゴミ拾いすぐ終わった?」
「うん。ヨシがゴミいっぱいくれたからね」
「まさか捨て忘れた弁当が役に立つとは思わなかった」
「私も。ヨシがバッグにゴミ入れてるとは思わなかったよ」
男の子たちが「なんだその会話」って朝からご機嫌に笑っている。
いつも通り楽しそうなその男の子たちの中で、矢代も一緒に笑ってる。
無愛想なくせに仲間内では子供みたいに笑うよね、とアズやカノコとよく話してた笑顔。
私はそれを見て背中がムズムズするような、そんな感覚に襲われた。
いつも通り。
だけど、そう見えて本当はいつもとちょっと違う。
この教室でそれを知ってるのは今のところ、私と矢代だけ。
その秘密をみんなに打ち明けるのはもう少し先にして、矢代にちゃんと伝えなきゃ。
誰も来ない場所に呼び出して、矢代の目を見て、手を握ったりして、ちゃんと。
この延長戦にふさわしい、胸やけするような告白を。
[ オーバータイム 完 ]
オーバータイム あん彩句 @xSaku_Ax
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