第40話


私ならどうしてほしいか、と考えたら、ちょっと早めに学校に来てほしいと連絡していた。



ちょっとどころかかなり早めに駅に到着したら、ロータリーにあるベンチにアズとカノコがもう並んで座っていて驚いた。




驚いた私に、カノコが苦笑いして「わかってるって」と言った。




「そもそもさ、延長戦になったところで予想済みですから」


「私たちはその選択肢もらえなかったし」


「そうそう。それを教えてあげなかったのは、あたしたちの負け惜しみ。いいでしょ、そのくらい」



そう言いながら、アズはにっこりと笑った。



「晴海に取られちゃったなぁ、矢代」


「好きだったのにねぇ」



ケラケラ笑いながら、カノコが言う。



「よかったね、とはまだ言えないけど。3人で泣くのもなんか嫌だし」


「私は半分吹っ切れてる。でも仁科くんとどうにかなるって可能性も、実はあんまりないんだけどね」



私とカノコが同時に、「なんで?」と聞くと、アズはふふふとかわいらしく微笑んだ。



「そう簡単にうまくいかないって、2人ともよくわかってんでしょ?」


「そうだよねぇ」



カノコがわざとらしくため息を吐く。



「とりあえず、矢代からかっとく?」


「やめて、イタすぎるから」




アズはそう言って立ち上がって、私の背中をバンと叩いた。




「なんて顔してんのよ。悪いけど、友達はやめないから」


「もしかしたら、彼女の隣にいるあたしたちの良さに矢代が気づいちゃうかもしれないしねー」



無理してるところもあるかもしれない、特にカノコは。


それでも笑ってくれて救われた。


私は堂々と、矢代の隣を歩くから。






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