モノクロの世界

不器用

『なにか伝えたいことはありますか？』そう聞かれた時に、僕は言葉が出てこない

伝えたいことって何だろう

思いに形はなくて

言葉にしようとした途端、霧散する

胸に残された温度だけが

その存在を証明する

感じていることはたくさんあるけれど

言葉にすると形が変わる

それを嫌って僕は

自分の中にしまい込む

不自由だと感じるのは、僕じゃない

いつも僕以外の人

「何を考えているのか分からない」

と人は言う

言葉にしても伝わらない

その事を知っているのは

僕だけなのか？

判を押される僕は

いつからモノになったのだろう

価値がつけられ

値踏みされる

評価を決めたのは誰なんだろう

弾かれる自由を人は恐れて、

そのくせ個性を主張したがる

突き抜けてしまえば叩かれぬのに

途中でやめてしまうのは

何に対しての恐怖なのか

今日も僕の周りは騒がしく、忙しない

自分のペースで走れるのは

学校の持久走ぐらいなのかもしれない

教室で板書してる時ぐらいの静かさがもっと続けばいい

そうしたら、僕は自由に泳ぎ回れる