江戸時代の漁村を舞台とした、若い海女(あま)たちが躍動する、歴史ミステリーです。
とにかく女の子たちの描写が秀逸。
仕草のかわいらしさ。ネーミングセンスのよさ。
切ない、ピュアな関係性が心地よく、ドキドキさせてくれます。
主人公・相瀬(あいせ)は若い海女たちのリーダーで、勇敢な行動派。
それを支える真結(まゆい)は、思いやり深く、慎重派。
身投げした玉藻(たまも)姫を、相瀬が海中で救うところから、物語ははじまります。
最初は部分部分しか見えていない海女と漁村の様子が、次第に細部が見えはじめ、大きな歴史の流れへとつながっていく様子が、必見。
海はもちろん、自然描写の、場面場面における細かなリアリティが美しい!
祭りの様子なども丁寧に描写されていて、臨場感が伝わってきます。
驚くべきクライマックス(後編のクライマックス)は、納得の結末でした。
小説というのは、直接に異世界を舞台にしなくても、日常で触れることのない「異世界の空気感」を描き出すものであるはず。その独特の空気感が、この作品からは強く感じられ、浸ることができました。
作者様のやさしさが伝わってくる、名作、力作です!!