終わりの世界

バブみ道日丿宮組

お題:永遠の妄想 制限時間:15分

終わりの世界

 明日世界が滅びればいいのにと妄想に浸っても、現実はそうならない。

「……」

 窓から見える風景はいつもの赤い空。昔は青かったらしいけれど、爆弾とか化学兵器の影響で海が赤く変化してしまったのでこういう色になったとかなんとか。

 正直どうでもいい。

 学校で教わるのも主に戦闘に関するもので、生き抜くためのもので大事そうなのは一言もない。銃で撃たれれば一撃で死ぬ。爆弾が降ってきたら木っ端微塵。そんな世界で生き抜く方法なんて覚えても本当に意味があるのだろうか。

 こんなくっそ世界が滅ぼす方法を探したほうが有用な時間を過ごせるとは思う。

「はい、次お前の番だ」

 教官が僕を指名するのでしかたなく、射撃場に入り的を射抜き、投げナイフをさらに加える。オーバーキルもほどほどなやり方である。

「よし、上出来だ。皆こいつの腕を真似するように」

 クラスが湧き上がる。

 英雄になりたいがためにこの腕が生まれたわけじゃない。

 永遠とも思える父親の指導でこうなっただけに過ぎない。

 自由なんてなかった。

 そんな父親は徴兵に出て、なくなった。

 ショックはそんなになかった。

 二階級特進とかで、僕の家は豊かになった。そのおかげもあって、戦闘の練習は捗った。他にやることもなかったしで、今はそうしてこうなった。

「……はぁ」

「よくも狙いつけないで的に当てられるね」

「んー、大体イメージで当たるよ」

 そうそこにくるっていう妄想をずっとしてきたんだ。分かる前にわかれ。

「相変わらずよくわからないね。次私頑張ってみる」

 そういったクラスメイトは見事に的を外し、ライフルにかえて数発撃ってようやく的をかすった。

「教科書通りやってるんだけどなぁ」

 しょんぼりした様子で戻ってきたクラスメイトに、

「実際は動いてるからたぶん当たるよ」

 当たり障りのないアドバイス。

 帰ってきた言葉は、ありがとう。

「……ん」

 いつか戦場に僕たちも送られる。

 その時誰かを守ることなんてできない。全てが的と思って攻撃しなきゃいけない。

 味方であろうと、その地域にいる人間を破壊する。

 それがこの学校での教え。

「やるときは一瞬で決めるから」

「そうならないよう祈ってるよ」

 配属先は基本皆別になる。が作戦によってはぶつかることもある。

 味方でも戦場では的とする。

 そんな地獄が僕のいる現実だ。

「はぁ……」

 世界なんてさっさと終わってしまえばいいのにな……僕が練習をしたところで何も変わらない。敵を倒せば新しい敵が生まれる。

 終わりのない連鎖反応。

 きっとこれは最後の国が生まれない限りは続くのだろう。


 そんな永遠にも思える妄想ごとをどこの国も考えてる。


 とっとと終焉を願ったらどうだろうか?

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終わりの世界 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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