夢と現が交錯して一度読んでは、また読み返し。物語は完結しているのに完結していないような。きっとまた、読み返してしまう。見えない出口を探して。
「俺」という一人称で語られていく、とある葬式の日。葬儀屋と思しき男と、煙草を燻らせながら、話したこと。弔われた少年、藤風成寛のこと。成寛の死に至るまでのこと。「俺」の少年時代のこと。そして――ラストは――「落ち」は、これは読んでくださいとしか言えません。9千字余りの短編なので、サッと読めます。しかし、「落ち」の衝撃はグッと来ます。是非、ご一読を。