11 Find a house
いつの間にか背後の足音は消えていて、影もなくなっていた。それは夜という闇に吸収されていっただけなのか、脳がバグを起こしているのか。それより、彼がいないのは何か理由があるのだろうか。
考えたくもない。私はきっと、もう自由なのだ。きっと逃れられたのだ。現実逃避かもしれないが、そう言い聞かせて走り続ける。
しかし何故だろう、大きな不安が残っている。それは記憶の中にいる彼のあの冷たい視線のせいなのか、それとも不自然過ぎるほどに無音だからなのか。
ひとり深海に放り出されたようで、このまま泡となって私も消えてしまうのではないかとすら思うほどだった。
ふと顔をあげると、見慣れた建物が見えてきた。
あれは確か、幼馴染の家だったはずだ。いや幼馴染とは言っても、中学までは同じ学校に通っていたがあれから二年も会っていない。それなのに勝手にインターホンを押すなんて……。
いや、生命の危機が迫っているのだから、許されるだろう。本当のことを話せばどうにか家の中に入れてもらえるだろうし、うちの親にも連絡を入れてくれる。
しかし、待てよ。これだけ何の物音もしないということは、彼は私を諦めたと断定していいのか?
もしかしたらあの家に先回りしていて、幼馴染一家はみんな……。考えてから首を振る。そんな訳はない。根拠はないが、彼は私以外に危害を加えるとは思えなかった。ただの私の予想に過ぎないが。
それなら、私は──。
入る→12へ『Sink to the seabed』
https://kakuyomu.jp/works/16816700426841578850/episodes/16816700426843458173
入らない→13へ『There』
https://kakuyomu.jp/works/16816700426841578850/episodes/16816700426844092240
振り向く→14へ『Truth』
https://kakuyomu.jp/works/16816700426841578850/episodes/16816700426844123703
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます