7 Go away

 恐怖と驚きのあまり声すら出なかった。それでも生きたいと思う心は持っていたらしく、私は考えるよりも先に後ろに走り始めていた。家の方向とは言え、このままでは彼を家に歓迎することになってしまう。しかしそんなことは言っていられない。まずは彼との距離を離さなくてはならない。

 背後に声が聞こえる。何を言っているのかは良くわからない。単語を耳に入れることはできても意味を考えることはできない。それほど今の私には余裕がなかった。

 何でもいい。とりあえず身の安全を手に入れたい。彼から逃げ切って、それから誰か大人に守ってもらわないと。

 そうだ、おまわりさんは……いや、ここからはだいぶ遠かったはずだ。そんなに体力が持つかはわからないし、それより先に彼に捕まって殺されるのがオチだろう。

 それなら、私はどうしたら良いのだろう。必死に考えを巡らせてみても不安と焦りのせいで、脳は正常な働きをしてくれない。

 どうしよう、どうしたらいい? 誰か、助けて、どうするのが正解なの?



振り向く→9へ『Catch and run』

https://kakuyomu.jp/works/16816700426841578850/episodes/16816700426843442779


走る→10へ『I'm home』

https://kakuyomu.jp/works/16816700426841578850/episodes/16816700426843986319

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