第3話 訪ねてきたお兄さん

昔、母から聞いた話。


亡くなった母は割と霊感のある人だったらしく、


若いころは良く、何度も火の玉を見たと言っていました。


鬼火っていうのでしょうか。


ふわふわと何個も一緒に浮いているのだそうです。


田舎では土葬がまだまだ一般的だった頃ですから、


結構見てる人は多かったみたい。


父も母とデート?中に見たことがあるらしいです。


二人は墓場でデートしてたのでしょうか。



明け方、夢の中で、玄関に誰か来たので格子戸を開けると、


長く会っていないお兄さんが立っていたそうです。


「電話も手紙も滅多にくれない人だから吃驚した。


でも『会いにきてくれたの』と聞いたら、


兄さんは『会いに来た』とだけ答えたの。


でも絶対に玄関から入ってこようとはしなかったから、


ああ、兄さんは死んだんだな……と思ったよ」


目が覚めると同時に親戚から、


お兄さんが自動車事故で亡くなったと電話がきたそうです。


幽霊の?お兄さんは、全然怖くなかったそうです。



父が昔、どこからか拾ってきた石を庭に置いてから、


悪夢にうなされるようになったことがありました。


母は拝み屋さんと話して、


大きな鉄の裁ちばさみを買ってきました。


それを黙って父の枕元に忍ばせたところ、


父の悪夢はぴたりと止まったとか。


鉄は不浄を断ち切るのだそうですよ。


ちなみにその石は、いつの間にか無くなっていました。


両親や妹達に聞いても、知らないと言います。


割と大きめで重たい石でしたから、


母や妹達の力で動かせるとは思えません。


あれもちょっとよく分からない出来事でしたね……




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