7
『起きてください、リック。開傘可能高度です』
ステラの「声」に俺は目を開けるが、視界は真っ暗なままだった。しかしヘルメット越しに聞こえる風切り音が、瞬時に状況を俺に悟らせる。俺は左胸のリップコードを引く。
そう。俺の船には脱出装置があったのだ。親父からのプレゼントの射出座席。だが、ロケットがないので射出はできない。俺はパラシュートになっている背中のクッションを引きはがして背負い、ハーネスを体に締め、ヘルメットをかぶり、その状態でハッチを強制的に開いて飛び出したのだ。
音速を超える気流に体を翻弄され、気絶する直前に俺が見たものは、はるか遠くに離れたブリッジを直撃したミサイルの、爆発の光だった。
そして今、開いたパラシュートに俺は吊り下がっているというわけだ。眼下には星のような光がぽつぽつと見える。最初は本当に星かと思ってギョッとしたが、あれはたぶんイカ釣り船の灯りだ。あの近くに着水すれば救出してもらえるだろう。
安心すると同時に、アンダーソンに対する怒りが沸々と湧いてくる。だが、ヤツの目論見は全て外れたのだ。俺も親父も生きているのだから。今度はこっちが反撃する番だ。
でも、今は少し休もう。疲れ過ぎた。ぐったりと体を弛緩させたまま、俺は顔を上げ……思わず息を飲む。
文字通り、星が降るような夜空が広がっていた。
流星屋の災難 Phantom Cat @pxl12160
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