エピローグ

 回想もこの辺りにしておこう。紅茶も飲んだ。

 あの日告白をされた僕は、直後に気を失った。それ以来返事もせず、彼女もそれに触れずに半年が経ってしまった。その答えを今伝える。


「覚悟はい……い?」


 彼女は眠っていた。全く、世話が焼ける。

 起こさないように鞄を探る。パーカーでは寒いかもしれないと思い、コートを持っていた。それを彼女に被せる。こんな時期にこんな場所で寝ては風邪をひく。マフラーを巻いているが何故かワンピースだ。季節を間違えたか?

 ふぅと息を吐く。弱々しい街灯に照らされているこの光景がずっと続けば良いのに、なんて思うのはきっとクリスマス色に染まった彼女のせい。


 その後目覚めた彼女に僕の想いを伝えた。なんと言ったかは恥ずかしいので秘密だ。

 ただ、それから数年経った今も僕らは一緒に暮らしている。

 

あの日の様に雪降る街で、薬指に嵌めた指輪を見せて頬を朱に染める君を、僕はそっと抱き締める。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

街が白と朱に染まった日 鈴響聖夜 @seiya-writer

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ