第11話
11(おまけの話)
「オレと結婚する人は、ルミなんだけど。 そもそもどうしてこんなオレなんかに好意を持ったんだ?」
その後、双方の両親から承諾を得て、貴と瑠美奈はお互いの実家からの中間地点くらいで、賃貸アパートを借り二人で暮らし始めていた。
「タカシは覚えて無いかもしれないけれど、私が中学で桃菜と初めて出会った時、感性が似通っている女の子だなって言う事で、すぐに仲良くなったの知ってる?」
もう何年も前の事だが、貴はしっかりと覚えていた。
「モモが中学校の時、クラス分けで、以前からの友人が殆ど居なくなってしまって、ガッカリしていた時、席が比較的に近いルミがモモに声を掛けたのがきっかけだったな」
「そうなの。あまりにもガッカリしたそのモモの姿に、私から声を掛けたのがキッカケだったよ」
「ありがとな。 最初のうちは、家に帰って来てからも、沈んでいたからな。それが数日後には、また綻んだ顔が戻って来たんだ。その時はホッとした」
当時の桃菜は、クラス分けになった時、そのクラスに以前の友人が殆ど居ない状態で、その数少ない友人も、特に親しい間柄では無く、普段は若干は話す程度の関係な友人(?)だった。
そこに、桃菜の前の席になったのが、瑠美奈だったのだ。
数日たっても、殆ど会話が無く一人でいる桃菜に声を掛けたのは、瑠美奈からだったのだ。
実際は、その瑠美奈もそのクラスには特に親しい友人が少ない状態だったと、後日聞いたが、桃菜の沈んだ面持ちに、なぜか声を掛けてみたくなったのが初めだった。
この二人が親しくなるのには、そんなに時間はかからなかった。
そんな折。
「桃菜。もうすぐ定期考査だけど、桃菜って、テスト自信あるの?」
この瑠美奈の言葉が、貴との出会いの始まりだったのだ。
あまり勉強が得意ではない瑠美奈は、赤点こそは取らないが、親からは時々。
『もうちょっと学年順位が上がればな~』
なんて、良く言われる。
別段、今のままでも良いのだが、親から見れば、大学の事も考えての、事だと思う。
「大きな声じゃ言えないけど、わたし以外と成績いい方だと思う。小学校の時の平均点数は、80点くらいかな」
「えぇ! いいな~。 私なんか(小声で)40~50点をウロウロ彷徨ってる人なんんだ。 桃菜が羨ましい」
「えへへ、でもこの点数って、実はお兄ちゃんに分からない所を教えてもらってるんだ。ウチのお兄ちゃん、頼りになるんだよ」
「桃菜、お兄ちゃん居るの?」
「うん。 背高くって、チョイ イケメンだよ」
「で、学力が良いって、それもう、優良物件じゃん。いいなぁ....で、何処の学校?」
「?(モモ)」
「?........(ルミ)」
「........って、お兄ちゃんこの学校の2年だよ」
「え!?」
「私たち兄妹って、年子なの」
瑠美奈は勉強を教えてくれる兄ならば、当然、高校生と思い込んでいたので、驚きだった。
そこで瑠美奈が閃いたのが。
“桃菜のお兄ちゃんから勉強を教わる”
と言う、正に都合の良い自己中な、学力アップ作戦だった。
「ねえねえモモ。 私もそのお兄さんから勉強を教わりたいなぁ....、ダメかなぁ....」
「いいと思うけど、お兄ちゃん週二で、テコンドー習ってるから、それ以外になるけど」
「それでもいいから、空いた時間でお願いしてみてぇ」
「分かった、聞いてみる」
まさにコレがキッカケで、瑠美奈は 悠生家の全員と(特に貴にだが)親しくなるのだった。
□
おまけのおまけ........。
「あ~あ、あの時に別れないで、あのまま本気で付き合っちゃえばよかったな~」
とは、大学に進んでからの 叶の 呟きだった。
□ □ □
オマケまでお読み下さり、ありがとうございました。
他愛もなく、何処にでも居るような二人でした。
思い付きの、出たとこ勝負で文字を走らせましたが、最後はオマケも含めて何とかしちゃいました。
一話ずつが短いので、サラッと読んで頂けたかと思います。
最後の最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
雅也
オレと結婚する人は 雅也 @masaya0808
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