はじまりの霧

バブみ道日丿宮組

お題:東京霧 制限時間:15分

はじまりの霧

 それは突然現れた。

 濃霧。

 そういうべきものが東京の朝発生してた。

 異常気象と呼ばれ、電車が停まり、交通機関が狂った。

 多くの人は家の中に取り残されるわけだが、霧はやがて家の中にまで侵入する。

 警告はテレビから発せられた。

 そして映らなくなり、人々の視界を奪った。

 まさに何も見えないという状況に人々は陥ったのだ。

 だが、それも数時間もすれば、薄まり、消えた。

 たったの数時間の時間停止のような状態は、経済にダメージを与えた。

 賞味期限という言葉があるように、何事にも期限というものがある。

 それによって、日本という国は他の国の数歩、いや数万歩後ろに置いてかれた。

 東京という土地はそれだけ経済の塊が集まってるのだ。

 それ以来、日本は濃霧対策を強いられることになる。

 1度目は東京。2度目は大阪、そして3度目は北海道で発生した。

 次にどこで発生するのか、気象予報士にも判断がつかなかった。

 だからこそ、ジリ貧だった。

 予算をあててはいるものの、解決に至るという道筋にたどり着くことはなかった。


 そうして、5年が経った頃だろうか。

 濃霧が発生した日に生まれた子どもが突然変異をはじめた。

 それは外側ではなく内側。いわゆる超能力を彼らは得ていた。

 その能力は、敵味方なく使用することができ、怒りを買ったものは問答無用に肉の塊へと変わった。

 それが悪いことなのか、良いことなのか、子どもは理解できない。

 ただ動かなくなったものをソラにあげ、引きちぎる。

 政府の予算は霧から、超能力者に変更された。

 だが、対策はうまくいかなかった。

 なにせ本物の超能力に対して、有効な攻撃とされるのは話術だけだったからだ。それも子どもに聞かせるというとても難しいことをしなければならないのだった。

 あれよあれよ、と時間が過ぎると、超能力者は霧の数だけ発生するようになった。

 もはや手の内どころがなかった。

 それもさらに10年が過ぎると、完全に日本は超能力者が支配する国へと変化した。

 こうして日記として残しておくのだが、これを見る人間はおそらく超能力者だろう。

 その時はもはや日本だけでなく、世界中で濃霧が発生し、超能力者が生まれ、支配してるだろう。

 

 未来の子どもたちへ


 何もできなくて、申し訳ない。

 せめて、長く生き残って欲しいと、切に願う。

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はじまりの霧 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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