第25話

 実際問題、机の上には、今回の土日でこなさなければいけない課題が平積みになっていた。

「それで、川岸さんはさておき、間藤さんに山神さんは、結構はっきりと君に好意があるみたいだけど、そこのところどうなんだい?」

 自室の見慣れた天井を眺めながら、しばらく僕は口をつぐんだ。その間、おーいっと彼女は繰り返ししゃべりかけてきていた。

「どうにもこうにも、別に二人とも僕のことが好きなわけでもなんでもないから、関係ないよ」

「まるで、ラブコメの主人公みたいなのに?」

「現実はたいてい、自分の理想の押しつけだし、二人に関しちゃ、もっと違うんだよ」

「ちょっと、何のこと言ってるのかよくわかんないけど、もしかして眠たいの?」

 うんと、呟くと、それじゃあお休みと一方的に電話は切られてしまった。


「せめて自殺場所か、方法でも書いてくれてたら、対策しようもあるのだけどなあ」

 週明け月曜放課後、校内の自殺場所を探しに行こうとする、間藤と先輩を引き留め、そもそも服毒自殺とか、首吊り自殺とかなら、あんまり場所関係ありませんよねと僕がもっともなことを言ったことに対する、先輩のぼやきだった。

「本気で、あれを書いた人を探すのなら、指紋取ったり、監視カメラをチェックした方がいいと思いますよ、先輩」

 さらにもっともなことを言うと、先輩はぐっと唸って心臓のあたりを押さえながら、前に突っ伏した。

「そんな、桜木、ひとを無能の塊みたいに言うんじゃないよ、これでも硝子のハートなんだよ?」

 そうですよ桜木さん、そんなにずけずけ言わないでもいいじゃないですかと、間藤の援護射撃も入ってくる。いつのまにやら、特に悪いことをしたわけでもないのに、僕が悪役の立場にされているようだった。

 付き合いきれないと思って、二人のことを半ば無視してコーヒーを飲んでいると、ようやく先輩は顔を上げた。

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少女が落ちてきた日 沫茶 @shichitenbatto_nanakorobiyaoki

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