第6話 見た目と中身2

土日を挟んだ月曜日。放課後になり、僕とゴリはいつものように部室にいた。

カンカンと静かな部室に響く。

「チカ遅いね」僕がスマホをいじりながらゴリに言う。

「そうだな。やっぱり俺強く言い過ぎたのかな」と懸垂機で上がったり下がったりを繰り返しているゴリが言う。

「そんなことないよ」僕がそういうとまたカンカンと金属音が響く。5分くらい僕とゴリは一言も交わさず、お互いに重い空気に耐えていた。

ギーっと音を立ててドアが開く。

「ちすぅ」とチカが言いながら入ってくる。僕とゴリは同時に扉の方を見る。

そこには先週と変わらないチカがいた。

「何?そんな私を見て」とチカが少し目を細めて僕たちを見る。

「いやぁ、別に何でもないけど」とゴリが言う。

「あっそ」とチカが言うと、いつもの椅子に座る。「またさ、やまじぃに掴まった。だから遅くなった」とチカが話はじめる。

「そ、そうなんだ」少し気まずく感じた。

「気まずくならないでよ。今回は暗くなるような話じゃないからさ」

「マジ?よかったぁ」とゴリが言う。ゴリのおかげで少し空気が軽くなった。

「今回は言い返した。毎回毎回私のことだけを注意するのはなんでなんですか?って聞いた。そしたら何て言ったと思う?お前の服装が乱れているからだだってさ。その時にちょうど3年の中野先輩が通ったから、あっち注意したほうがいいんじゃないですか?って言ってみた」

「中野先輩って改造リボンにピアスジャラジャラで、メイクばっちりで有名の中野先輩?」と僕が聞く。

「そう、その中野先輩。そしたら、あれはもう手遅れだって。だから私も手遅れでいいですって言ってきた。あと校則違反はしてないので今後の注意も大丈夫ですって断断りも入れてきた」チカは少しにやけた顔で言っている。

「それはだいぶ喧嘩売ってきたね」スマホをいじる手がいつの間にか止まっていた。

「けどまぁ、あとはマキちゃんがうまく納めてくれるだろ」とゴリは言いながらまたカンカンと懸垂機をならし始める。

「明日辺りにマキちゃん部室に来るかもね」とチカが言いながらギターをロッカーから取り出し、練習し始める。

「てか、髪の毛とか染めなかったんだな」とゴリが聞く。

「いい感じに納まってたのに何でそれを聞くかな」とチカが突っ込みを入れる。

「でも気になるだろ」

「確かに」僕とゴリはお互いに目を合わせた後にチカに目線を送る。

「金曜にゴリが耐えるか折れるかって言ったでしょ?でも言われ続けて我慢するのは自分的に無理だし、言われたからって自分を変えるのは嫌だし。だから反抗して相手を変えることにした」そういうとチカはギターでレディーガガのborn this wayを引き始めた。

そのままかって心の中で小さくツッコんだ。

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蛹の中は蝶か蛾か 新溶解性B錠剤 @sinyokaiseiB

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