肺は廃熱器官

高黄森哉

人体に関するレポート

 始めに肺は疑いようもなく排熱器官である。いまから肺がどのように体内から熱を逃がすか、その機構を説明する。


 まず肺は喉を通して口とつながっている。口から入った空気は喉を通して肺に運ばれるのである。そしてその肺を切り開くと内部に枝のような構造が現れる。この枝の先端には球状の集合体が付いていて、その表面を血管が這っているのである。どうやらこの構造が運ばれてきた空気が熱に触れる表面積を増やしているらしい。吐いた息が吸った空気と比べ暖かいのはこの球で加熱されたがためである。これらの形や機能はヒートシンクに酷似している。これは効率を追い求めた結果、生物と技術に収斂が起きたためである。


 【余談だが、私は、生物と技術の間に散見される酷似を収斂進化に組み込む案を押している】


 熱交換効率のために面積を増やそうという努力は体内に普遍的にみられるようである。例えば腸。腸と言えば大腸と小腸を指すが、どちらも裏返せばヒダが付いているのを発見できる。これは表面積を増やすためである。排せつ物が真冬に湯気が立つほど加熱されて出て来るのもなるほど、このためである。


【検証のために用意した、新鮮な人糞は3トンに及ぶ】


 病気になった時、人は防衛反応として熱を持つ。ウイルスの活動を鈍らせるためである。では、熱が出たとき人はどこを押さえるだろうか? 多くの人はおでこを押さえる。おでこの下には頭蓋骨を隔てて脳みそが鎮座している。ならば熱を発しているのは当然脳みそである。この脳みそを観察すると表面が皺皺になっている。人体でこのような構造を持ち合わせているのは脳みそのほかには陰嚢のみである。陰嚢の表面が皺皺なのは睾丸から熱を逃がすためだと分かっている。精子は熱に弱いのである。


【ある研究によると、男子学生の脳みそと陰嚢の形質の一致率は200パーセントに達する】


 話を脳みそに戻す。つまり陰嚢の機能を鑑みると、どうやら脳みそは廃熱器官としての役割を担っているらしい。


 人間とは考える廃熱器官である。


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肺は廃熱器官 高黄森哉 @kamikawa2001

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