2話め:暗闇の中で。
課題をする前嫌になる。
不安。この漠然とした不安はなんなんだ。
課題が終わらない不安なのか。こんな世界に対してなのか。
そんなことを思っていると体調が悪くなってくる。
うう・・・。布団の中から抜け出せない。
時計を見るともう24時を過ぎている。
このままではダメだ。そう思って立ち上がる。
一人暮らしだから怒られることはない。
ガチャン。
。
外に出た。真っ暗。
すれ違う人も誰もいない。
バタン。そんな音が聞こえるが、人は見当たらない。
僕しかいない別世界みたいだ。
暗闇に溶ける、そんな心地がする。
。。
明るい光。
ぼんやりと漂う、温かいオレンジ色。
上から差し込んでくる。
電灯の光だ。
暗闇の中を”暗闇”の世界ではなく、”人がつくった世界”にしている。
。。。
ポツンポツン。
雨が降ってきた、初夏の夜の雨が髪を濡らす。
メガネに水滴がついて、灯りもマンションも田んぼもぼんやりと揺れて見える。
なんて綺麗なのだろう。
少しの変化で見える景色が変わる。
。。。。
外に出る前の漠然とした不安が、漠然とした恐怖が、消えていく。
いや、心の中に仕舞われていく。
なくなったわけではない。
怖いことには怖い。それでも、洗われた気さえする。
こんな僕でも前に進んでいい、と言ってくれる気がする。
。。。。。
また帰ったらすぐに何もできない自分に逆戻りかもしれない。
明日も明後日もその先もずっとできないままの自分かもしれない。
何も残せないかもしれない。
それでもそれでも、
生きてていい、そんな風に思えるのは、この暗闇があるからだろうか。
続く。
課題の前のひととき。 空透 @sorazu
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