第2話 洋館

気づくと、ワタシの後ろには友達数人。


皆もワタシを真似て、濡れた砂を両手で救っている。

砂を掬いながら、話しかけているワタシ。

「どこからきたの?」

「あそこに住んでるの」

彼女が指差す。

自然と目で追うワタシ。


海岸から少し離れた、海を見下ろす高台。

その少し奥に、白い洋館。


素直な思いが口をつく。

「あそこ?、ひと、住んでるのか」

ワタシの言葉に嫌な顔をするどころか、彼女が続ける。

「遊びにきて」

ワタシを覗き込むように微笑んで言う。


続いてワタシの背後の友達にも笑いかける。

つられて、ワタシも友達を振りかえる。

皆、ワタシを見ている。

確認するように目配せすると、皆が頷く。


彼女に振りかえって応える。

「うん、いいよ、みんなで行くね」

すかさず彼女が言う。

「うん、待ってる、ママにおかし作ってもらうわ」


そんな彼女のこたえを待たずに、夢中で砂を掘るワタシ。

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メモリィズ ビショップ(bishop) @toughandgentle16

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