メモリィズ

ビショップ(bishop)

第1話 邂逅

海と夕陽を背に、おぼろげに人影が浮かぶ。


皆と一緒に近づく。

声の届く距離。

陽の光に煌く長い髪、太陽のせいではない。

その子の髪が、きれいな金色をしている。


外国の子?

皆の立ちすくむ気配をよそに、話しかけている小学生のワタシ。

「なにしてるの?」


波打ち際で、小さなシャベルで、砂を掘っては埋めている彼女。

手を止めてワタシに笑いかける。

一瞬、息をのむ、ハッとするような笑顔。


見とれそうになるワタシに答える。

「さがしてるの、きれいな貝がら」

日本語で答える彼女。


ワタシは、さも当然のように彼女の正面に陣取る。

屈むと、両手で波に濡れた砂を掬う。

「このほうが早いよ」

そう言って笑うワタシ。


彼女がびっくり顔になる。

次の瞬間、可笑しそうに声をあげて笑う。

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