第5錠 誠司と彩葉
「ちょっと、ジッとしてろ」
それは、あまりにも
突然、視界に入り込んできた、彩葉の整った顔。
だが、上から
なぜ、押し倒されたのか?
その
だが困惑している誠司を
すれと、何を思ったか、誠司が着ているシャツを、一気にたくし上げた。
「ッ!!?」
突然、胸元辺りまで
「ぎゃぁぁぁぁ、お前、なにしてんだぁ!? 俺がエロイことしたいのはイロハちゃん(女)だ! お前じゃねーよ!?」
気が動転するあまり、ブワッと鳥肌が立つと、
「…………」
だが、彩葉は、奇声を発する誠司には目もくれず、そのまま誠司の脇腹に
整った指先がスーッと腹を
「お、おい、聞いてんの!?」
「あのさ。このアザ、どうしたの?」
「え?」
だが、返ってきたのは、あまりにも真面目な言葉だった。
と、いうか───アザ?
誠司は、ぽかんと口を開けたまま、彩葉を見上げる。
すると、彩葉の視線は、誠司の脇腹にできたってアザに注がれていた。
トランプのダイヤのマークを思わせるような、綺麗な
2cm程の小さなアザだが、あまりにも均等すぎるその形は、ぶつけて出来たにしては、あまりにも不自然だった。
「あーこれか?
誠司は、上半身を起こすと、そのアザを見つめながら、彩葉の問いに答えた。
「………そう」
すると彩葉は、その返答に小さく
だが、特に何をする訳でもなく、眉間に
(な、なんだ……?)
──このアザが、どうかしたのか?
「それで? イロハちゃんとエロイことしたいって何?」
「へ?」
だが、その後、放たれた言葉に、誠司の思考は一気に引き戻された。
場の空気が
「あー……えっと……さっきのは…その……っ」
動揺のあまり、口元がひきつる。
突然、押し倒されてパニックになったのと、昼間の友人たちの言葉がフラッシュバックして、とんでもない言葉を口走ってしまった。
もちろん、そんなこと
それに、早く
「いや、違うんだ……さっきのは、だな!」
だが、弁解の言葉なんて、そう簡単に見つかるはずがなく、あたふたと慌てふためく誠司をみて、彩葉は眉をひそめながら
「お前……
「…………」
終わった──なぜか、そう思った。
そして、サーっと顔が青ざめた誠司を見て、彩葉が、
「お前、最低だな」
「いやまて!! 違うんだ!! そんなこと一切考えてない! マジで信じて!!」
「どう信じろって? 俺こんな奴の兄になるとか、マジ最悪なんだけど」
「俺だって、お前の弟になるとか最悪だわ! てか、本当に違うんだって! そりゃ、イロハちゃんが俺のこと好きになったらどうしよう!とか、多少、変な妄想はしたけど! だからって、イロハちゃんと恋人になりたいとか、エッチしたいとか、そんなこと考えてるわけじゃなくて、あくまでも、兄妹として、イロハちゃんと仲良く」
「おい」
「!?」
だが、その瞬間、彩葉が一段と低い声を発した。
「さっきから、俺の名前で、変な妄想すんのやめろ。キモイ」
「……」
そして、これでもかと嫌そうな顔をする彩葉。
更に、その視線と
だが、その瞬間──
「誠司~、彩葉ちゃーん。ご飯できたわよ~。おりてらっしゃーい」
と、場違いなほど明るい声が響いた。
どうやら、母の優子が呼んでいるらしい。
すると、その声を聞き、彩葉は、バッグを手に立ち上がった。誠司の横を過ぎ去り、部屋の入口まで歩み寄る。そして、再び振り返った彩葉は
「そうだ。ひとつ忠告しておくけど、俺の部屋には、絶対に入るなよ。もし、入ったら──殺すよ」
それは、見惚れてしまいそうなほど綺麗な笑みで、だが、その笑みとは対象的な
(俺、これから、どうなるんだ?)
この先、
それが、最悪のものになってしまったのは、もはや言うまでもなかった。
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皆様、数ある作品の中から、こちらの作品に目を通して下さり、誠にありがとうございます。
お星様にフォロー、♡や温かいコメントなど、連載早々から頂き、とても嬉しかったです。
また、マイナーすぎる作品なので、ほかの作品のようなPVは見込めないだろうと、覚悟の上で公開しましたが、やっぱり読んで頂けると、嬉しいですね。
これからも、皆様からの応援に恥じぬ作品を作れるよう、精進して参りたいと思います。
本当に、優しい応援を、いつもありがとうございます。
また『雪桜さんちの舞台裏』の方で、最新話の後書きを公開中です。
『雪桜さんちの舞台裏』
https://kakuyomu.jp/works/16816927861981951061
作品の裏話にご興味のある方は、覗いて見てくださいませ。ちなみに、今話の後書きはこちら⤵︎ ︎
https://kakuyomu.jp/works/16816927861981951061/episodes/16817330654642479772
また、今後、後書きがある時は、ページの末にリンクを張っておきますので、ワンクリックで飛んで来て頂けたら…
それでは、やっと物語が動き出しまして、ここからは、彩葉と誠司のW主人公で進めていきます。
ちょっと怪しい雰囲気の作品ですが、私らしさは、存分に詰め込んでおりますので、引き続き、楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは、まだまだ未熟な作者ですが、これからも、宜しくお願いします。
雪桜
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