バーチャル美声受肉
黄黒真直
バーチャル美声受肉
VR技術はついに、視覚だけでなく聴覚をもジャックできるようになった。
自分の見た目を自在に変えられていたように、自分の声や、話し方、話す内容さえもいい感じに自動修正するようになったのだ。
「っす」
と挨拶すれば、
「……おはようございます、今日も良い天気ですね」
と相手には聞こえる。
政治家は威厳と説得力に満ちた声を出して民衆の支持を集め、教師は明るく親しみやすい言葉を紡いで生徒からの人気を勝ち取った。
どこの家庭からも、柔らかな会話と朗らかな笑い声が響くようになった。
「これ、ゲームにできるな」
「え、何が?」
「Vvoiceを使ったゲームだよ。俺が適当に何か言うから、俺が本当はなんて言ったのか当てるゲーム。やってみようぜ」
「やめとけやめとけ」
「なんでだよ」
「そのゲームに慣れてしまったら、『周りの人間が本当はなんて言ったのか』が察せるようになってしまうだろ? そんなことができても、誰も得しないさ」
「……なるほど、それは正しい考えですね」
バーチャル美声受肉 黄黒真直 @kiguro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます