喰字欲の終わらせ方

昔の他愛ない話を続けて、気が付けばいい時間だ。

「あ、こんな時間だ。ごめん」

「いいよ、私もこの状態だと、仕事とか行けないからさ、忙しくはないんだ。でも、中村といたら落ち着いた気がする」

中村くんから中村に戻ったことで少しほっとした。昔の関係に少し戻りつつある気がした。

「でも、全然知らなかった…ひかりがそんな体質だったなんて」

「そりゃそうだよ。中村といたころは、喰字鬼じゃなかったからね」

「喰字鬼って、突然変異なんじゃないのか?」

「私も詳しくは知らないけれど、喰字欲を満たすには二つの方法があるみたいでね。終わるまで食べつくすか、それか、」

「それか?」

「誰かを喰字鬼にするか」


***


俺の喰字鬼の記事はこの三流雑誌の歴史の中でも一番に匹敵する反響だった。



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喰字鬼 糸井翼 @sname

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