でもね、君のヒロインがいい。

恋愛ものだけで終わらない、主人公であるための心構えを教えてくれる。
容姿はもちろん、それぞれキャラが立っている。
春彦はモテそうなタイプな気がする。

世に作品を書いている人は、「自分の創り出した世界で波乱万丈に生きたい。作家は主人公なんだ。俺はそんな主人公になりたい」と思って書いているのかと関心してしまった。

ペンダントをさがしていたとき、主人公とおなじくらい唯衣も、テスト前に遊び呆けて自分といっしょにいてくれない主人公に我慢していたと思う。
国語以外壊滅的な成績なのは、慧も知っているのだから。
ペンダントまでなくしたら、不安に押しつぶされるくらい切羽詰まっていた。
なので、慧に強く言われて「なら……私は慧の前から消える……もう別れよう」と告げたのだ。
この辺りの書き方が上手い。

「主人公になって終わりではない。主人公としてい続けることが彼の次の目標だ」
何かをつかむためを目標に励んでも、その先も人生は続くのだから。
 慧ならば、唯衣と家族と、この先も歩いていけそうな気がする。