オナ禁してたら世界最強になった俺

@rintaouros007

第1話 異常が日常になった世界

西暦XXX年、突如世界各地で異能を持つ子供が生まれ始めた。ある者は空を飛び、ある者は火を操るといった具合だ。皆成長の過程で自分の能力を発現させるらしい。

今では日本の人口の約99パーセントがなんかしらの能力を持っている。そんな世界にも何の能力も持たない俺のような”無能”はいるもんだ。

「おい、邪魔だ無能が!」

いつものように教室に入ろうとすると背中を蹴られ俺は勢いよく床に激突した。

”クソッ” 俺は心の中で怒りを押し殺して席に着いた。

「アラタだっせー」 「さすが無能(笑)」クラスメイトの嘲笑が聞こえる。

これも無能の宿命だ。俺、新島アラタはここ私立京泉高校に通う高校1年生だ。

19にもなってなんの能力も発現せずクラスの日陰モノをやっている。

「ハァ.... 世の中世知枯れーな..」

そんな俺にも楽しみはある。

「アラタ、大丈夫?」 クラスメイトで幼馴染の早乙女優愛だ。

「いつものことよ」 苦笑しながら答えた。

優愛と話す時間だけ俺の癒しだ。

「アラタ、どっかケガしてない?今日異能実習だよ?」

最悪だ。ほとんどの人間が異能を持つ世界となった今、その教育は必須となった。

異能実習は学生に適切な異能の使い方を教えることを目的としているそうだ。

とは言っても実態は俺のような弱者に向けて強者が能力を見せびらかす場になっている。

「おいアラタ、今日実習おれと組もうぜー」

「響....分かったよ、お手柔らかに頼むぜ」

夏目響、身体強化の異能を持つ S級能力者だ。ほとんどのS級はS級同士で組むが、たまに響きのような性悪が弱者を見せしめにするためにやってくる。

「やれやれだぜ....」俺は体操着に着替えながらつぶやいた。

「おいおい、どうしたよアラタっち」  ”ガシッ”

「おおうっ、いきなり股間触んな、ミッシー」こいつは三島悟、中学からの腐れ縁、

感覚強化のB級能力者だ。戦闘向きではないためいつもはこいつと組んでいる。

「ったくよー、月一回のこの授業のせいで精神が持たねーよ」

「まあ、アラタはE級だもんな」

「今日の俺は一味違うぜミッシー」

「何がよ」

「一か月抜いてない」

「.....授業行くか。....」

俺だってそんなことしたって何にもならないことは知ってるんだよ。だけど少しでも前を向く希望が欲しいだけなんだ。

俺は重い足取りでグラウンドに出た。照り付ける日差しに砂埃が舞っている。

授業開始のチャイムが鳴る。教官が少し指導した後で皆ペアを作り始めた。

「早くしろ、ボコボコにしてやるよ」いつものニヤケ面で響がこちらに来る。

額から汗が噴き出す。怖い怖い怖い逃げたい逃げたい逃げたい。

「実習開始!」 始まりはいつも無慈悲だ。

合図と同時に響が視界から消える。

「速すぎるッ」

「一発目ぇ」背後から声がした。俺はとっさに振り向く。

「ドスッ」鈍い音が体中に響いていた。この瞬間不思議な感覚が俺を襲った。

”痛みがない?”  

「ぐああああああ」なぜか響のこぶしからは血が噴き出し、悲鳴を上げている。

「何しやがった、このクソやろーーーーーー」響が我を忘れて突進してくる。

何かわからんが逃げたってどうせ追いつかれてやられる。ならッ......

俺はこぶしを握り響に向かって思いっきりストレートを放った。

こぶしに衝撃が走る。響の顔面にきれいにヒットしていた。響はその場に力なく倒れた。”やったのか?”何が何だかわからないまま俺は人生初の勝利を得た。

時刻は午前9時、”ちょうど一か月前の午前8時からオナ禁してたっけ”

俺はそんなどうでもよいことを考えながら自らに目覚めた能力がに胸を躍らせていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

オナ禁してたら世界最強になった俺 @rintaouros007

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る