悪役令嬢に転生したから、原作通り舞台から降りたのに、今さら戻って来いなんて言わないで

第1話

「私」　鬱

　私は乙女ゲームの世界に転生した。

　でもそれは、悪役令嬢だったらしい。

　どうしてこんな不運な事になってしまったのだろう。

　装備　護身用の短剣

　ストレス値50

　SS「まさかの異世界転生」「なんでこんな事に」

「私」　奮

　私は運命を変えるために強くなることを決意した。

　剣の腕を磨いて、師匠を呼んで、とにかく特訓。

　その腕はやがて、英雄と呼ばれるまでになった。

　装備　英雄剣ジャスティス

　ストレス値30

　SS「修行しすぎですよお嬢様」「英雄認定の式」

「私」　喜

　任務をこなす日常は順調だったけど、今思えばいい気になっていたのだ。

　ヒロインや攻略対象まで助けて、調子に乗っていた。

　自分の事も分からずにいたから。

　装備　英雄剣ジャッジメント

　ストレス値10

　SS「向かう所敵なし」「調子よすぎてちょっと怖いね」

「私」　哀

　私の心は弱いままだった。

　任務で死の危険にさらされた時、硬直してしまった。

　かばってくれた人をなくして初めて、私は自分の弱点に気が付いた。

　装備　呪われた剣ノイズクラフト

　ストレス値80　

　SS「惜しい人を亡くしたな」「なんでこんな事に2」

「私」　鬱

　失敗続きで、まったく何もうまくいかない。

　今までできていた事ができなくなった。

　その原因は分かっている。

　ストレス値90

「私」　鬱

　原作通り、ヒロインに全て任せて舞台からおりよう。

　私は所詮悪役令嬢なのだから、何をやってもむだ。

　努力をしても無駄なのだとあらかじめ決められていたのだ。

　ストレス値90

　SS「転生前の夢」「私が余計な事をしなければ」

「私」　疑

　ヒロインに励まされた。

　攻略対象にもだ。

　こちらの舞台に戻って来いだなんて、今さら私に何を期待するのだろう。

　装備　お守りの剣

　ストレス値80

　SS「ヒロインから見た悪役令嬢」「攻略対象から見た悪役令嬢」

「私」　疑

　かつて、悲劇に遭うはずだったヒロインを助けた。

　かつて、トラウマに悩まされるはずだった攻略対象を助けた。

　それが何だというの？

　装備　お守りの剣

　ストレス値90

　SS「どうして皆は…」「そうっとしておいて」

「私」　疑

　戦えない私を守って、散っていく仲間達。

　彼らはそれでも私を信じ続けている。

　だとしたら私は……。

　装備　英雄剣ゴッドクリスタル

　ストレス値80

「私」　奮

　私は決めた。もう迷わない。

　彼らが命をとして守ってくれたこの身を剣へとかえるのだ。

　私は再び立ち上がろう。

　装備　英雄剣ゴッドクリスタル

　ストレス値100～10

「私」　嬉

　英雄の復活とは、大げさな。

　でも私は、大騒ぎする皆を見て満足だった。

　この平和を守れてよかった。

　ストレス値10

　SS「結婚とかしないの？」「ヒロインの結婚式」