エピローグ

 梶野くんを初めとしたあの連中は、警察に逮捕された。


 そして、梶野くんはそのまま、学校を退学になった。


 そのことにもみんな驚くが……


「……嘘だろ」


 栞ちゃんは、髪を元通りの黒に戻した。


 イヤリングなどの装飾品も外して。


 けど、その代わりに痛々しく包帯を巻いていた。


「梶野の野郎、えげつな過ぎるだろ」


「ひどすぎ……」


「ていうか、栞ちゃんまだ休めば良いのに……」


 周りは同情し、彼女に優しく声をかける。


 栞ちゃんはいつも通り、優しく微笑みを浮かべながら答える。


 そして……


「次郎くん、亜里沙ちゃん」


 僕たちの下にやって来た。


「ちょっと、話があるの」


 僕らは屋上にやって来た。


 穏やかに良い天気だ。


「まずは次郎くん……ごめんなさい」


「えっ?」


「そもそも、私が梶野くんに隙をつかれて、奪われて……次郎くんを裏切ったことが始まりだったから」


「いや、そんな……」


「けど、そんな次郎くんが亜里沙ちゃんと出会って、幸せそうな顔をしていて……とても嬉しく思ったし、安心した。ちょっと、寂しかったけど」


「…………」


 亜里沙ちゃんは口を閉ざしている。


「でも、次郎くんが亜里沙ちゃんと付き合ってからも、私のことを気にかけてくれて……本当に嬉しかったよ。ありがとう」


「栞ちゃん……」


「……これからも、亜里沙ちゃんと仲良くね。私は、幼馴染のままで良いから」


 栞ちゃんは微笑んで言う。


「それじゃあ、私はこれで……」


 そのまま、立ち去ろうとした。


「――しおりぃ!」


 ふいに、亜里沙ちゃんが叫んだ。


「へっ?」


「あっ、ごめん、いきなり呼び捨てしちゃって」


 亜里沙ちゃんは少し髪の毛を撫でながら言う。


「亜里沙……ちゃん?」


「いや、そのさ……確かに、ジローはあたしの大切な彼氏だし、これからもずっとそうあって欲しいけど……」


 亜里沙ちゃんは、まっすぐに栞ちゃんを見つめている。


「あんたにだって、幸せになる権利はあるよ……どうしたいの?」


「わ、私は……」


 栞ちゃんは、その華奢きゃしゃな体を震わせる。


「……私も次郎くんと……恋人同士になりたいよぉ……」


 ポロポロ、ときれいな瞳から涙が溢れた。


「次郎、抱き締めてあげなよ」


 亜里沙ちゃんに背中を押される。


 僕は戸惑いつつも、栞ちゃんを抱き締めた。


「あっ……次郎くん、温かい」


「栞ちゃん……」


 思えば、ずっと前から、これを望んでいたのかもしれない。


 大好きだった、彼女を抱き締めること。


「あたしこそ、大切な幼馴染の間に割って入っちゃったよね」


 亜里沙ちゃんの声に、僕らは振り向く。


「だから、あたしこそ、このまま2人の下から離れて……」


 言いかけて、亜里沙ちゃんはピタッと止まる。


 小刻みに震え出した。


「あ、亜里沙ちゃん……?」


「……って、やっぱり無理いいいいいいいいいいいいいいいぃ!」


 叫びながらこちらに駆け寄って来ると、そのまま僕の背中に抱き付いた。


「わっ!」


「あたしもジローから離れたくない~! けど、栞にも次郎と結ばれて欲しい~!」


「え、えっと……」


「……ねえ、いっそのこと、3人で付き合わない?」


「「へっ?」」


「ジローなら、イケるよ。だって、お◯ん◯んすっごくデカいし。正直、あたし1人じゃ持て余すなってさ、アハハ」


 亜里沙ちゃんは笑って言う。


「いや、それはさすがに……」


「……わ、私も、そうしてもらえると、嬉しいかも」


「栞ちゃん?」


 振り向くと、栞ちゃんが目を潤ませて、少しすがるように僕を見ていた。


「さあ、こ~んな美少女2人がこう言ってあげているけど、ジローはどうするのかな~?」


 亜里沙ちゃんは、ニヤケ顔のまま言う。


「え、えっと……」




      ◇




 あとでご近所さんに何て言おうか……


「「――はああああああああああぁん!」」


 結局、僕は最高に清楚で可憐な幼馴染と、最高にキュートでムチムチなギャル子さんを、同時に抱いてしまった。


「「「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」」」


 僕の部屋の狭いベッドに3人で横たわって、激しく息を乱している。


「どう、栞? 初のジローち◯ぽの感想は?」


「……す、すごすぎ、おっきすぎ」


「あのクズ男と比べてどう? 100倍すごいっしょ?」


「うん……100倍気持ち良かった」


「あ、100と言えば……あたしのおっぱい、とうとう3ケタの大台に乗ったよ~! 爆乳Kカップです、ブイブイ♪」


「す、すごい……私なんて、まだCカップなのに」


 栞ちゃんは控えめな自分の胸を両手で押さえて言う。


「大丈夫だよ。しおりんも、これからおっきくなるし♡」


「そ、そうかな?」


 2人の美少女に挟まれながら、僕はもう訳が分からない状態だった。


「あ、あの、本当にこれから3人で……付き合うの?」


「駄目……かな?」


「ダメなの?」


 両サイドから、むにゅっと柔らかい感触が……当然、亜里沙ちゃんの方が大きいけど。


 栞ちゃんのちょっと小ぶりなのも、愛らしくて……


「……将来、正式に結婚は出来ないよ?」


「それでも、構わない。ずっと、次郎くんと一緒にいられるなら」


「右に同じーく!」


 亜里沙ちゃんも、栞ちゃんも、笑顔でそう言ってくれる。


 だとしたら、僕は……


「……よ、よろしくお願いします」


「「はーい♡」」


 その後、枯れ果てるまでヤッたのは、言うまでもない。




『ずっと好きだった幼馴染の美少女をNTRされた。そんな僕を純情ギャルが慰めてくれる。』


 完






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ずっと好きだった幼馴染の美少女をNTRされた。そんな僕を純情ギャルが慰めてくれる。 三葉 空 @mitsuba_sora

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