太平洋同盟

「やぁ、どうもニクソン大統領」

「はじめまして。日本国首相」

 俺はアメリカの大統領と握手を交わす。

 ちなみにだが、俺のことを日本国首相と呼び、名前を呼ばないのは、俺が名乗っていないからだ。

 昭和天皇と会った時、名前言うのを忘れて、そのまま名乗るタイミングがわからず、そのまま。周りも天皇の隠し子ということで名前を言えない何か複雑な事情があるのだろうと勘違いし、俺の名前に触れてはいけない。ということが暗黙の了解となってしまった。

 なんということでしょう。

 彼らは俺が単に名乗るタイミングを忘れただけとは思うまい。

「単刀直入に申し上げましょう。我が国を貴国の大東亜共栄圏に加盟させてもらいたい」

「はぁー」

 俺はニクソン大統領のその申し出にため息をつく。敬意?そんなもんクソくらえ。それは相手が俺に払うんだよ。

「大東亜共栄圏は経済的にも軍事的にも大日本帝国に依存する国が加盟する国だ。そこに貴国は入りたいと?」

「……それは!」

「貴国は軍を持ち、経済も安定している国である。では、大日本帝国とどういう関係になるべきか。ニクソン大統領。あなたならわかるであろう?」

「で、では改めまして。我が国と同盟を結んでほしいのですが」

「えぇ。いいですよ。我が国も貴国との友好関係を望んでいます。ぜひ結ばせていただきましょう」

「よかった」


 東洋な覇者たる大日本帝国と北米の大国であるアメリカの間で結ばれた太平洋同盟。これにより太平洋は日本にとって完全に自国の庭となった。

 そして、もはやこの世界ではすくなってしまった大国どおしの同盟は独伊を警戒させることになる。

 まぁ、だからといってヒトラーは日本のことをわりかし信用してるので、別に何も変わらんと思うが。日本がイタリアと同盟でも結ばない限りドイツでなにか変わることはないだろう。

 だからごめんね。ムッソ。イタリアと同盟は結べないんだ。もう5回目だからね?あと、孫娘に同盟を結ぶように頼ませるのもやめようね。

 

 太平洋同盟締結から2年。ドイツ総統アドルフ・ヒトラーが死亡。それとともにナチスドイツは内戦へと突入した。

 ヒトラーが今まで必死に抑え込んでいたドイツ内部の対立が爆発したものだと思われる。

 ドイツ首都のゲルマニアは内戦不干渉地域に指定され、ゲルマニア保護区として独立。ゲルマニアにはヒトラーの遺体もある。内戦後のことを考えれば誰も攻撃しないだろう。

 交戦勢力は全部で4つ。ナチ党ではヒトラーが後見者に任命したボルマン派と反ボルマン派であるシュペーア派に分裂。国防軍はゲーリングを筆頭に蜂起し、親衛隊はヒトラーの死に落ち込むヒムラーの代わりにハイドリヒをトップに蜂起した。

 交戦勢力がどれほどの軍隊を持っているかは不明だが、推定で各派閥100万以上の陸軍を保有している見られ、すべて最新性の戦車を保有しているだろう。

 そして、ドイツが作り上げた統一協定は完全に崩壊。内戦勃発と同時に各国家の弁務官区が独立を宣言し、反乱や革命、弁務官区同士の戦争の兆候もある。

 それだけでなく、フランス、イギリスなどでもレジスタンスが蜂起。ルーマニアとハンガリーはドイツに対して宣戦布告した。

 ルーマニア、ハンガリーは軍を持っていて、ドイツを相手に戦った。

 それに対し、日本は中立を宣言するとともに世界平和条約に反していたルーマニアとハンガリーに対し、遺憾の意を表明すると共に世界平和条約を守るため世界各国に対し、世界平和条約を遵守しているかどうか調査すると宣言した。

 ……別に俺らがルーマニアとかハンガリーとかレジスタンスに武器を売ってたわけじゃないよ?

 別に今、ドイツどころか欧州各国に対し武器とか物資を売ったりなんかしてないよ。

 特需景気うまうま!パパ、所得倍増させちゃうぞ!

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