欧州大戦

 ドイツ内戦、それに伴う欧州大戦において最悪の核戦争は回避されそうだった。

 核発射の権限はゲルマン保護区が握っているのだ。どの勢力も核をドイツ本土に撃つのは避けたいようだ。

 ちっ。

 イタリアはまだ何の声明も出していない。ムッソリーニももう長くないだろう。自分が死ぬことになるよりも先に何らかの行動を起こすだろう。

 アメリカはドイツに対して、宣戦布告。英仏に対し支援を行い、イギリス本土への強襲上陸を目指して動いていることだ。

 あの、ニクソンくん。君がドイツに対し、宣戦布告したんだよ?日本を頼りにしないで?参戦要求送らないで?君何回送るの?もう15回は送られているよ。ニクソンくんはメンヘラ彼女かな?

 日本は中立だよ。変なことはしないでよね!

「行ってらっしゃいませ。あなた」

「うん、行ってくる」

 俺は妻たちに見送られて、ゲルマンに向かう。ヒトラーの葬儀のためだ。どの国もイタリアのムッソリーニすらもヒトラーの葬儀に参加せず、国のトップが参加するのは俺だけとなるだろう。


「世界のトップにたった君の葬儀がこんなものとは」

 ドイツの内乱に伴い、葬儀に参加したドイツの高官はヒトラーの葬儀をそっちのけて口論になり雰囲気は最悪、市民もドイツ内乱に不安を募らせ、どこか活気がない。世界の覇権国となった国のトップの葬儀にしてはどこか寂しいものだった。

「俺も君のようにならないように気をつけるよ」

 俺は一人。ヒトラーに祈りを捧げる。

「寂しいものだな……。友が逝くというのは。なぁ、ムッソリーニ」


 ヒトラーの葬儀が終わるとともにイタリアはドイツに宣戦布告。

 核を持つイタリアの参戦にドイツは大きな衝撃を受けた。

 慌てたドイツはイタリアに対し、核を発射。アメリカのときとは核の威力が違う。新しくできた水素爆弾はローマをふっとばした。たまたま別の都市にいて無事だったムッソリーニはドイツへの報復を宣言し、ドイツへ核を発射した。いくつかは迎撃されたが、いくつかの都市には水素爆弾の脅威にさらされ、イタリア軍がドイツに侵攻を開始した。それにドイツの敗北を意識させられたドイツは内乱を停止させ、一つになった。誰がトップに立ったのかは公表されていない。日本以外にその情報を掴んでいる国はないだろう。

 ドイツは水素爆弾を前線に落とし、イタリア、フランスへの反攻作戦を開始。

 快進撃を続けた。

 イタリアも水素爆弾を贅沢に使い、抵抗したが内乱してもなおイタリアを上回る戦力を保有するドイツを前に劣勢を強いられた。

 日本がソ連を占領していることもありそもそもそこまでの量がなかった弁務官区はすぐにドイツに占領され、ドイツ領へと編入された。

 フランスは水素爆弾もあって戦線は総崩れになっており、欧州においてドイツは優勢となった。

 しかし、イギリスにはアメリカ軍が上陸。イギリスを開放した。

 そして、アメリカはノルマンディーに上陸。敗走を続けるフランス軍の救助を急ぐ。

 そんな中、イタリアのムッソリーニが死亡。

 大日本帝国はそれを受けて、ドイツにイタリアと停戦交渉を行うように要求。日本を絶対に敵に回すわけには行かないドイツはそれを承諾。ドイツとイタリアは白紙講和を結んだ。

 イタリア第二の都市ミラノでムッソリーニの葬儀が行われ、俺だけでなくニクソン大統領なども出席し、ヒトラーの葬儀よりも華やかなものとなった。

 イタリアの脱退により、欧州に多く戦力を割けるようになったドイツはフランス方面で全面攻勢を開始。それと同時にアメリカの重要都市に対し、核ミサイルを発射。ワシントンD.C.へ放たれたミサイルなど一部は迎撃できたが、全て迎撃する子に失敗。アメリカの都市が地図から消滅した。

 そして、ドイツはフランスを降伏させ、アメリカに上陸。進撃を開始した。

 アメリカの負けが確定し、ドイツが勝利すると思われたその時、ロシアがドイツ宣戦布告。それに伴い、日本もドイツに宣戦布告。日本の精鋭部隊が猛進。核を撃たせる間もなくゲルマンを占領。主力がアメリカに行っているドイツが日本に抵抗できるはずもなかった。ドイツは日本に対し、降伏を申し出た。

 

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