ハーレム性活中なんやが?

「はい、あーん」

「パクリ。うーん。美味しい!」

 ロシア皇帝の娘であるマリナにあーんで食べさせてもらう。

「もうやーね。傍から見ていると自分の子供のカップルにしか見えないわ」

 今、全員分の料理を作っていた敦子が俺らのやり取りを見て話す。敦子の年齢はもう38。マリナがまだ17で、俺の見た目がこの時代に来た高校一年生の15歳の頃と同じだと考えると、まぁ、子供と言えるだろう。

 え?実際の俺の子供?聞くなよ。なぜか生まれねぇんだよ。俺か。俺に原因があるんか!

「もう、あなたも今何歳だと思っているの?」

「今年、41歳になるな!」

「でしょ?そろそろ慎みを」

「いいではないか!俺は何故かずっと若い見た目なのだから!」

「……そう、ね」

 俺のずっと若い発言を聞いた敦子が少し悲しそうな表情をする。

「別に気にすることはないぞ!俺は敦子が何歳になっても敦子を愛し、抱くと誓おう!なんだったら今からベットに行くか?」

「もう!あなたっら!今日はアビゲイルの日でしょ?順番は守らなきゃ駄目よ」

「む。そうだな」

「総理!総理!」

 俺が妻たちと談笑していると、空気の読めない男の声が聞こえてくる。

「って!総理!また女を連れ込んでいるのですか!ここは執務室ですよ!」

 空気の読めない男、残念なことに俺の秘書官である有馬くんが怒鳴る。

「うるさいよ。俺は常に女と共に生きているのだから。それで?どうしたの?」

「もう。総理は女好きは困ったものですよ。アメリカの大統領から会談をしたいと……」

「却下で」

「え!?」

 俺が即答すると有馬が驚く。

「そんな驚くな。俺はハーレム性活中なんだ。会談なんてするわけないだろ。あと80年は待ってくれ」

「あなた何歳まで生きる気ですか!?情勢は悪化の一途をたどっています!ドイツの権力闘争は激化。ヒトラー総統がお亡くなりになったら一体どうなるのか……。イタリア、イベリア連合でもにらみ合いが続いていますし……。情勢は常に変化しているという言うのに80年も待っていたら大日本帝国は終わりですよ!」

「君はバカが。別に何もしなくても大日本帝国は覇権国になるし」

 ドイツと言う大日本帝国を超える覇権国は勝手に内部分裂するだろう。そしたら次の覇権国は日本だ。しかも絶対の覇権国に。まさに日の沈まぬ帝国。千年帝国の完成である。

「ふわぁ。それで、アメリカはなんと?」

「え?あ、はい。大東亜共栄圏に加盟したいらしく」

「はぁー。それは駄目だろうよ。アメ公。おい、会談に応じるとアメリカに告げろ」

「え?あ、はい!わかりました!」

 有馬は俺の執務室から出ていった。まったく。慌てすぎだろ。あいつ。

「ねぇ、あなた。何もしなくても大日本帝国が覇権国になるというのは?」

「え?」

 敦子の疑問に俺は本気で首をかしげる。

「あぁ」

 そこで思い出す。別にこいつらはドイツの内乱など予想していないのか。

 俺は未来の、というかもうすでに全然違うものになってしまったとはいえ、未来の知識があるのだ。だいたいどのゲームでもドイツの内乱は起きる。それ故に俺はドイツで内乱が起きると確信しているのだが、こいつらにはそれがないのか。

「ドイツで内乱が起きる。ドイツが潰れれば、大日本帝国が覇権国だ。案ずるな。必ず内乱は起きる」

「あら、まぁ。でもあなたが言う事なら信頼できるわ」

「ありがと」

 ドイツの内部状況は思っているより複雑怪奇だ。あれで内乱が起きないことはないだろう。

 それどころか、俺はイタリアもイベリア連合も巻き込む地獄の欧州大戦になるように手を回しているのだ。別にアメリカなんぞいなくても大日本帝国が覇権国となるのは確定事項である。

 アメリカも我が国の敵なりえないだろう。そのために核戦争を起こしたのだから。

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