第4話平穏の陰②
瑠衣が行ってしまい手持ち無沙汰になった司はなんとなしに、アプリを起動させる。
特に期待するわけでもなく近隣で出会いを探す掲示板を開いた。昼下がりの時間がピークなのか繁華街である幾つかの地名で待ち合わせしましょう、との書き込みが連なっている。あからさまな表現は避けているものの、割り切り関係を求めての書き込みで埋まっていた。大体は業者で、見抜くにはそれなりの
経験則が必要だ。
下へスクロールしていく。
ピタッと司の指が止まった。
目を手で隠したバストアップの写真とともに一時間以内に○○へ来て、との書き込みだ。車を走らせれば三十分以内に着く場所、補足するならば瑠衣のパート先とは反対に位置する場所だった。
寂れた駅にある地元民しか知らないような喫茶店。そこに司が着いたのは書き込みがあってから五十分後だった。
掠れた文字で営業中と書かれたプレートが下げられたドアを押すとカランカランとベルの音。
いらっしゃいませ、との店主の声を後ろに流し、ぐるりと見渡した司の目は奥のテーブル席に留まる。
居た。
座っているのは妙齢にも窺える程の見目麗しい女性だ。視線は手にした文庫本に落ちて、司に気づいた様子はない。磨りガラスから差し込む陽光に黒髪が艶やかに煌めいてる。
司は安堵の息をひとつ吐いてから歩み寄った。
「こんにちは」
司が声を掛けると、ようやく女性は顔を上げた。瞬きの間があったが莞爾と微笑み、首肯した。
「こんにちは、桐生さん」
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中々、話が進まずにすんません|ω・`)
破滅の呪文[Ruin]β版 黒畜 @825892
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