探偵の子ども

バブみ道日丿宮組

お題:残念な探偵 制限時間:15分

探偵の子ども

 誰だって1つくらいは才能と呼ばれるものがあるものだ。

「……ぐ」

 だというのに、だというのに。

 僕は何も解決できてない。父親と母親が有名な探偵だというのに、解けるミステリーがない。

「どうしましたか、お嬢様」

「このミステリーが何もわからない」

 執事になぞなぞの本を押し付ける。

「これはあれですね。正解は2番です」

「えっ? わ、わかるの?」

 急いで本を奪い返し、解答ページを開く。

「ほ、ホントだ。な、なんでわかったの? 僕にはこれっぽちも2番な理由がわからないよ」

 解答の解説を読んでもちんぷんかんぷんだった。

「お嬢様はもう少し国語力を磨いたほうがいいと思います。これから、毎日一冊本を読みましょう。それだけで、国語の点数が30点はあがるはずです」

「読書か……」

 げへへ、苦手なんだよね。5文字以上あるとめまいがしてくる。

 だから、国語の点数はいつも赤点。その代わりといっちゃなんでも、数学はいつも満点。数字は得意なんだ。

「短編集でもいいのですよ。著名人のものであれば、しっかりと学べるものがあるはずです」

「僕にも読めるものがあるかな?」

 童話ですら苦痛を味わいそうだ。

「そうですね。映画の原作となったものを見るのがいいかもしれません。見終わったあとで、映画を見るとどこが重要であったのか、あるいはどこを省略したのかが判断できます」

 映画原作か。本を読むのに4,5時間はかかるとして、そこから映画をみるとなると6,7時間毎日かかるということか……。

「学生の身分じゃ無理じゃない?」

 素朴な感想だった。

「休み時間などを利用すればいけると思いますよ。それに本も映画も途中でやめることができます。続きをあとにとっておくということもできます」

「それだと一日一冊なんてできないんじゃない?」

 執事の言ってたことを計算する。

 毎日10分休み時間が5回あり、昼に1時間ある。登下校中の時間は往復1時間(座れないと読めない)。 家に帰ってからの自由時間は6時間ほど。あれ? いけそうだ。

「いや……自由時間が自由じゃなくなっちゃうじゃん」

 読書と映画しか毎日できない。そんな毎日は嫌だな。

「短編集は短編を読み終えたらやめればいいのです。そうすると休み時間だけでも読み終えられるはずです」

「なるほど……」

 短編にも1時間以上かかりそうなんだよなぁ……。

「まずは本を買いに行きましょう。私がおすすめできる書店があるのです」

 執事が扉の前まで歩いてく。

「だいぶやる気だね?」

「お嬢様の成績をあげなくては、執事である私の名目がたちませんので」

 両親になにか言われてるのかな? 育児丸投げだしあり得る。

「さぁ、行きますよ」

「わかった」

 その前に他所向きの格好をしよう。

「着替えるね」

「そうでした。お手伝いします」

 そうして10分時間がかかってから、出発した。

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探偵の子ども バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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