恋とは何か
下瀬眞一
第1話 見上げた先に
『眞一!早く起きて!新学期早々遅刻しちゃうよ!』
部屋に甲高く透き通った声が響き渡る。10年前から毎日欠かさず聞く声だ。
まだ目も開かない状態で返事をする。
『あと5分。。』
だいたい僕はこうやって返すのだ。そうすると。。
『じゃあ私もー!』
『いや寝るんかい!!』これが僕眞一と、幼なじみの可奈の毎朝の会話である。
僕と可奈はいわゆる腐れ縁ってやつだと思う。
両親が医者家系の可奈は2歳の頃から隣の家でほぼ毎日一緒にいるレベルの幼馴染だ。
僕たちは今年で17歳になる。近所の私立高校に通う、ごく普通の高校生だ。
『今日から2年生かー。めっちゃ早い感じするー。しんちゃんなんてこないだまで一人でトイレにも行けなかったのにね」
可奈が小馬鹿にしながら言ってくる
『お前も小六まで一緒に風呂入りに来ようとしてたくせに何言ってんだ』
『あ!それは言わない約束じゃん!』
『お前が言ってきたからだろ!』
そうやって言い合うこと、これも朝の日課である。
『あんたたちほんと仲良いいわね。遅刻するわよ』
お母さんが入ってくるのもいつもの展開だ。
『マジだ!可奈お前のせいでまた遅刻ギリギリ!』
『しんちゃんが喧嘩売ってくるからじゃない』
そう言って急いで準備して二人で家を飛び出した。
『行ってくる!』
『しんママ行ってくるね!』
『はい行ってらしゃい』
そう言ってお母さんはいつも僕たちのことを見送ってくれる。
恋とは何か 下瀬眞一 @shimoseshinichi
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