第6話 沢村 翔 (一)
「サクヤ、チル」
「はい」
「ここに」
アマテラスは木花咲耶姫と木花知流姫の二柱を呼ぶ。
「お願いしてもいいかしら?」
用件はわかってるよねと言うようにアマテラスは問いかける。
「御意」
「承りました」
「サクヤ、チル私は甘いかしら?」
「いえ そのような事はないかと このようになった以上あの母娘は翔様にとって最重要人物です。これから生きていく所が現代日本ではなく古代日本のようだと早く認識してもらわないと」
木花咲耶姫が答えると、
「今は助けが無いと翔様の許に辿り着く前に賊に殺されるか、動物の餌になることでしょう」
木花知流姫が補足する。
「そうね では頼みましたよ」
二柱の女神は白い闇に消えていった。
後は翔様ね……
「沢村翔 起きなさい」
俺は誰かの呼ぶ声に目を開けた。ここはどこだ?辺りは白いばかりで何も見えない。音も聞こえない。たしか俺はナイフを振り回した男から女性を守ろうとして刺されたんだった。じゃあここは病室なのか?俺は生きてるのか?
俺は頭が温かくて柔らかい物に乗ってる感じに気付いた。なんだろう?とてもいい匂いがする。俺はその温かくて柔らかいものをさすってみた。
「あっ…あんっ!」
「!!!!!!!!!!!!!!」
視線を真上にあげるとそこにとても美しいお姉さんの御顔があった。俺はこのとても美しいお姉さんに膝枕してもらっていた。
俺は猛烈な勢いで頭をあげ、正座にて座り直し頭を床につけるがのごとく倒した。そう 土下座というやつだ。
「すいません!すいません!わざとじゃないんです!俺変態じゃないんです。痴漢じゃないんです。頼むから訴えないでください!」
俺は必死で謝った。
「クスクスッ 誰も訴えたりしませんよ」
「ありがとうございます。」
よかったあーー。 お姉さんの返答に俺は胸をなでおろした。
「初めまして 沢村翔さん ずっとあなたを見ていましたが、お話するのは初めてです 宜しくお願い致します。」
「はい 宜しくお願いします。えっ?俺の事ずっと見てた?もしかしてお姉さん俺の事好きなの?」
「!! 違っ!あっでも違う事無くって!でも違って!……」
お姉さんは顔を赤らめてめっちゃあせった。可愛い人だな……。
「あーーー!もう調子狂わせないで!今から色々説明するけど落ち着いてちゃんと聞いてね。」
お姉さんはなにやら説明するというが一体何を説明するというのか?
「それよりまずここはどこで お姉さんは一体誰なんです?事件はあの後どうなりました?」
俺は当たり前のように一番知りたい事を聞いた?
お姉さんも心得ているようで
「私はアマテラスです。天照大御神ですね」
天照大御神だって!日本の主神じゃねえか?そもそも神様なんているのか
「ここは私のいる高天原と地球とを繋いだ亜空間ですね。事件でについてですが、あなたは刺殺されました。あなたが助けた母娘は助かりました ナイフ魔はあの後つかまりました。」
「やっぱり俺死んだのか……」
「事件についてはあなたに謝らないといけません。本来あなたは平均寿命80代くらいまで生きるはずでしたが邪神の起こした事件に巻き込まれて命を失ったのです。」
女神は事件の経緯と俺をこの世界の民導く指導者的存在として俺を選んでいた事を教えてくれた。
「私はあなたを指導者的存在として選んだと言いましたが、これはあくまで私ども高天原の神々の願いであり義務でもましてや命令でもありません 必ずしも従う必要はないのです」
「そうなの?」
「自給自足のスローライフを送ったとしても人々を虐げ殺したりしても私達は下界には干渉しません。選定ミスとして他の人を探すでしょう ただそんなことにはならないとあなたを選んだつもりではあります 信じていますよ」
「次に能力ですが」
「無双できるようなチートとかもらえますか?」
俺は別に自慢とか遊び心でチートが欲しいわけじゃない。生きる為には強いほうがいいだろう。守りたい人がいても守れるだろう。
「何十人も何百人も相手できるゲームのような能力はございません。」
「魔法は?」
「現状ございません 無いと思われておかれたほうがよいでしょう」
マジで! 俺すぐ死んでしまいそうだよ。どうしようか?
「でもさすがにこの過酷な世界で現代人そのままというわけにはいきません そこで何点かの能力をあげさせてもらいます。
まず第一に不死です。あなたは二千年生きることができます。あらゆる毒・ウィルス・菌等に耐性があり病気にかかることがありません これは指導者として民を導き、国を興し、あらゆる技術を発展させる あなた以外に別世界から送られてきた者はほとんどが悪しき存在ですので世界統一してほしいぐらいです」
世界統一って何言っちゃってんの このお姉さん。
優しい男の異世界建国記 北畠義顕 @rsvpdemo
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