第5話 降臨

 何がどうなってるのか?辺りは白い闇に覆われていて何も見えない。


 「舞音!」

 「はい お母さん」


 舞音を無意識に呼びながら娘のいた方に顔を向けると舞音はそこにいた。私は娘を抱きしめていた。


 「沢村さん!」


 お姉さんを呼んだが返事はない。お姉さんと翔さんはまるでそこに居ないように姿が見えない。翔さんが横たわってるベット、この部屋に備わってる物何も見えない。周りの音するなくなっている。ただ白い闇と静寂が広がっている。


 私達の目の前に何かが浮かび上がってきた。しばらくすると人の形をしてきました。白い闇の中から大変美しい女性が現れました。


 「朝比奈さんですね 私はアマテラス この国の主神です あなた達にお願いがあります」


 「天照大御神?」


 「お母さん 神様なら 翔さん生き返らせてくれるかも」

 舞音が私の顔を見て言う。


 「アマテラス様 どうか翔さんを生き返らせてください。」


 私はアマテラス様に願いを口にした。


 「まずは話を聞いてください」


 天照大御神は語り始める。


 「私達 神は生命の宿る新たな星を創造しました その星の人間を導く人として神が選んだのが翔さんなのです 翔さんには寿命が尽き次第転生してもらうつもりでした 今回邪神が引き起こした事件によって夭折されたので魂を呼び寄せないといけないのです しかしながらあなた方の想い・感情が翔さんの魂をつかんでいるので魂の移動ができないのです 魂は器となる肉体がないと時間と智に消滅してします。このままでは翔さんはどこにも輪廻できず永遠に消えてします」


 「そういわれてもどうしたらいいのか……」


 「三つの選択肢があります


 一つ目は翔さんを諦めて魂を開放してあげてください。翔さんは新たな星に転生します あなた方はここでの人生を全うしてください 一番良い方法です


 二つ目はあなた方にこの人生を諦めて翔さんと共に新たな星に転移する


 三つ目は三人の魂を半分に分けて現世と新たな星と両方の人生を送れるようにする 魂は時間とともに少しずつは充足してくるけど完全には元に戻らない 不完全な感情を持つ人間になってしまう」


 「向こうでの生活って……」

 わかってはいるが思わずつぶやいた。


 「古代での暮らしだから何もないわね 何もできなければすぐに死んでしまうわね。常に危険がつきまとうわ 楽に快適に暮らしたければ翔さんはあきらめてここに残りなさい」


 アマテラス様はここに残った方がいいというが、私は翔さんの行くところに行きたいと思った。でも舞音をそんな所に行かせられないとも思う。舞音は何と言うだろうか?


 「お母さん 行こうよ!私翔さんの行くところに行きたいよ 学校もいじめられてて居場所はないし新しい世界に行きたい!」


  舞音は目を輝かせて言った。キャンプか何かと間違えてるかのようなワクワクした表情だ。大丈夫なのでしょうか?でも私も似たような気持ちなので舞音を思いとどまらせる言葉はでなかった。


 「もうあまり時間がありません。向こうの世界に行くという事でいいですね?では転移させますが転移先は各自違う場所になりしばらくは一人になります お互いを探してください そして翔さんをさがしてください その間に一人で生きていく術を身に着けてください お二人の身体能力も少しばかりあげておきます 並みの男数人ぐらいなら立ち向かえるぐらいにしておきます それとこれを授けます」


 私たちは長方形の立方体の形をした物をもらった。ボタンが付いている。娘はすでに押していた。


 ビィィン!ナイフが飛び出した

 「ひっぃいい」思わずナイフを落とす舞音。


 「あなた方にとってナイフはトラウマになってるかもしれないけど克服しなさい あと思念によってナイフから弓→槍→刀と変わるからね 普段は任意のアクセサリーにもしておけるわ」


 アマテラス様にもらったこの道具と能力で舞音と無事に翔さんの所まで辿り着けるだろうか?不安しかないがやるしかない。


 「これぐらいしかしてあげられないけど向こうでも頑張って生きてね。じゃ転移させるわね。」


 私は意識を失った。


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