第13話

すき…?


「ずっと陽菜におれを意識して欲しかった。男として見て欲しかったんだ。」

「だからお母さんに協力してもらってキスまでしたの…?信じられない。」

「キスなんてしてないよ。そう見えるようにおれがしただけ。」

「訳分からない!ずっと好きを殺しながら苦しくて仕方なかったのに。琉羽のこと私絶対許さないから。好意がわかりづらいのよ。バカ琉羽!!」


怒っているのに琉羽は"はははっ"と笑っている。

もう少し文句を言ってやろうと口を開くと、自分の体に彼の影が落ちる。


「えっ?ちょ、なんっ!?」

「許さなくてもいい。おれが陽菜のことだけ好きなのは事実だし。あれのおかげで陽菜がおれへの好きを募らせてくれてたと思うと、いつもの愛情表現じゃ全っ然足りない。ずっと傍にいるから。陽菜を喰い尽くすまで。」

「っ!?!?」


いつものじゃれ合うような空気のまま、唇を貪られる。

緊張した空気とは…?

そっと触れ合う唇とは…?

やっぱり憧れは憧れなんだと思ってしまった。でも、琉羽が相手だから憧れなんかよりずっといい。やっぱり琉羽は狼だけど、狼はパートナーをずっと愛し続けるから。きっと琉羽もそうしてくれるよね?

だから私も、狼になろうだなんて、そう思う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Loup 花詞 @kasi_888

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ