第46話 赤木ルナの思い
授業終了のチャイムが鳴る。
「はーい。今日の授業は以上でーす。今日の授業レポートは次回集めますからしっからいやっといてくださいねっ♡」
「あと、堂本クミさん。ちょっといいいかしら」
赤木先生とクミは一緒に教室を出で。しばらく歩いて学校の中庭にあるテラス席に座った。
「授業中に話していたことなんだけど、クミさんの家って神社なの?」
「そうなんです。所沢にある狭山湖の近くで、
「ただ、なんか変な呼ばれ方があって、『
「あーっだから、源頼光の絵が奉納されているのね、なるほど、なるほど」
赤木先生は二度三度うなずきながら聞いていた。
「昔、『鬼退治』をした末に『鬼』達を封じ奉った神社だったらしいんです。おかげで幼少期から魔訶不思議な逸話には事欠かさない人生を送っています」
「二人の兄は、魔除けの為にこの勾玉を肌身離さず持っていろって言うんです」
「先生はその源頼光って人が好きなんですか?」
「えっ!何?なんで? やだー そんなんじゃないのよ、はずかしいじゃない・・・」
照れまくる赤木先生。
赤木先生は自分のことを語りだした。
「私が小さい頃ね、おじいちゃんが大江山の鬼退治という話をよく聞かせてくれたんだ。私はおじいちゃんが大好きで、話を聞くというよりも一緒にいられるのがうれしかったの」
「おじいちゃんは私が中学生に入る頃に亡くなってしまったの。大切な人の死を受け止められなくて何日も、何週間も泣いていたの。それから少しして昔おじいちゃんから聞いた鬼退治の話の夢を見たの」
「その夢がリアルっていうか、基本的にはおじいちゃんから聞いた内容の話なんだけど、見たこともない平安時代の風景や、人物、話し方、鬼と戦う源頼光とその部下である四天王たちが自分で見たかのように鮮明がったわけ」
「源頼光はライコウって呼ばれていて、私に話しかけるの。『俺を探せって』」
「なんか、キュンっとしたっていうか、運命感じたのよ。きっと私は前世でこの人と結ばれるはずだったんだけど、何かのせいで実らず、1000年後にお互い生まれかわって再会するって思ったの♡」
「それから、一生懸命平安時代について書かれた書物を調べたり、京都や奈良にも行って歴史に詳しい人から話を聞いたりしている中で、頼光はその四天王の一人の|
「えっー、それってBLじゃないですか!? それで、それでどうなったんですか?」
クミが食いつくように聞いてきた。
「クミさんってそっちのジャンルに興味あるの?」
「いっいや、そういう事はないんですが・・・」
「
「それと、聞いた話の中で頼光の絵が奉納されている神社が日本のどこかにあって、そこに頼光に関する重要な何かがあるらしいの。そこに行けばきっと何か分かる気がするのよ」
「もしかしたら、その神社がクミさんの神社かも。鬼に関する逸話もあることだし、この学校に赴任し、クミさんに会うなんてますます運命だわ♡」
「それなら、来週うちの神社で氏神祭りをやるので是非いらしてください」
「私は毎年『神楽の舞』をするんですよ。けっこう評判で大勢お客さん来てくれるんです」
「頼光さんの絵はその時に兄に見せてもらいましょう」
クミは楽しそうに先生を誘った。
「ありがとう。絶対いくからね」
「あと、授業での居眠り、今回だけ見逃してあげるわ」
二人の笑い声が中庭に響いた。
才能のない神主のボクが古の戦士に覚醒しちゃって鬼とか神とかと戦うことになりました。 蒼山次朗 @JAOYAMA
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