スポーツに適した温暖ですごしやすい気候

@HasumiChouji

スポーツに適した温暖ですごしやすい気候

「毎夕新聞の林本と申します。総理、今回のオリンピックに関して、『我が国の夏はスポーツに最適な気候だ』と云うのが招致理由の1つでしたが……」

「すごしやすい気候じゃないのかね?」

「い……いや……ですが……」

「私にとっては、極めて快適だよ」

「す……すいません……その……うげっ……」

「お……おい……どうした?」

「あの……彼等の種族の中には、この環境で長時間すごすと、体調を崩してしまう者が居るようでして……」

「困ったものだな……劣等種族にしては優秀な記者だと思っていたが……」

「ええっと……デイリー・ドラゴンのパパミルクと申します。オリンピックの開会式に、が、ほとんど関わっていない事について、批判が有りますが……その……」

「我々とて、多様性を確保し、他も平等に扱いたいと思うよ。しかし、実際問題として、ここ1世紀、の優秀なアスリートや芸術家は……居たとしても例外だろう? 我々と彼等では、先天的な能力の差が有り過ぎる……残念ながら、そう結論を出さざるを得まい」


 突如として出現したが人類を支配してから約1世紀。

 新なる支配者達は、概ね人間の慣習を尊重したが、細部に置いて、多少の変化は有った。

 例えば、夏のオリンピックの開催地域は……日中の気温が32±4℃の範囲内、湿度70%以上である事が「スポーツに向いた快適な気候」と見做されるようになった。

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