第4話 大丈夫


しかし、改善の仕様のない生活に


病んでしまった僕は


学校に行くことが少なくなっていった。


今ではほとんど行っていない。


窓から広い空を見上げ、


いつもより過ごしやすそうな風が


吹いているをぼーっと見ていると、


ピーンポーンと音が聞こえてきた。


親は家を出ていたため、


仕方なく応答しドアを開ける。


そこには僕の知っている人がいた。



「 …あ、哀川です。学校で渡さなきゃいけない

プリントがあるから。って預かってきたんだ。」


「ありがとうございます。」


僕は軽く返事をし、受け取るものを受け取り


その場を後にしようとすると、


何故か耳元で声がした。


「ちょっとお邪魔しま〜す!」


なんとあの哀川さんが許可を取ろうともせずに


人の家に入ろうとしているのだ。


「ちょ、ちょっと!」


僕はリビングに直行する哀川さんの背中を


慌てて追いかける。


「鶴ヶ谷君のお家ってすごくオシャレだね。」


いつもの調子に戻ったので、安心し、


一応お客さんということで、お茶を入れにいく。


「あ、わざわざありがとう。」


僕は向かいの椅子に座り、お茶を1口飲む。


何かあるのだろうかと考えていると哀川さんは


口を開いてこう言った。


「鶴ヶ谷君、原因は虐めだよね。」


「まぁ …ね。」


僕は他愛もない返事をする。


「僕は…いや、もういいんだよ。」


あぁ、なんて情けないのだろうか。


哀川さんという人を心配させ、


しまいには慰めてもらっているのだ。


普通なら二人きりなんて、


喜ぶところが叫んでしまうような


状態のはずなのに。


申し訳なくなった僕はすぐに帰ってもらおう。


そう思っていると、


「もういいやって …そんなのないよ!

鶴ヶ谷君は何も悪いことしてないのに

なんで悩まなきゃいけないのよ!

ねぇ、本当に諦めちゃうの …?」


相川さんは悲しそうな表情をして言った。


僕だってこんなの嫌だし、


学校だって行けるものなら行きたいさ。


そう思うけれど言えるはずもなく、


「大丈夫だから …ありがとう。」


僕はやっぱり顔を見ることは出来ない。


僕が諦めていると捉えたのか、


哀川さんは椅子から立ち上がる。


多分、「そっか …お邪魔してごめんね。


お茶、ありがとうね。」と言って


帰るんだろうなと思った。


しかし哀川さんはこう言った。


「鶴ヶ谷君、私と一緒でもだめかな …?」


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君といたら花火が観える気がする。 mel mel @melmel_2

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