第13話 暗転と機転と海老天丼と

 ああ、これでアンゴルモア復活は阻止できたハッピーエンド! となって欲しいがきっとそうはならない。


「この封印ってどうやっても解けないか聞いてもいい?」

「うちがあの世へ行っても解けないけど、物理攻撃には限界はあるかな。多分ミサイルの30連続でぶつければ壊れる程度」

「戦争規模の兵装で壊せるなら安心とまではいかないか」


 ほーら、世の中甘くない。

「でもマルスはあんまり物理攻撃得意って感じじゃなさそうだよね。深淵魔法ってそれ自体では物理攻撃できたりしない気が」

「やりようによってはできるけど準備がそれなりにかかると思う。ぼくなら数十日単位かかる。準備を始めたら深淵の奥にいる意識を暴走させてくる『誰か』に気取られるだろうけど」

 Kが興味深い事を言いだした。そんな新キャラ何て知らない。

「あ、深淵魔法そのものが意識を暴走させるんじゃなくて黒幕的な人がいるんだ」

「私が暴走した時は記憶ぶっ飛んだから何とも」

 深淵の個人差かK個人の勘の良さか? 情報の共有が深淵の強みのはずなのにいまいち生かせていない

「なんでそんな根本的な話し合いをしてこなかったんだろうな」

 その辺は数日寝込む特訓を1か月行っていたからではなかろうか。文字通り命がけの日々だったぞ


「あっしには案外そいつがアンゴルモアなんじゃないかと思いやすがね」

 片木さんは海鮮丼かきこみながら、大前提をひっくり返してきた

「アンゴルモアは蘇る前なんですからこっちに関与なんて……もしかしてできないこともない?」

「そう考えてみれば、蘇る前は何も出来ないこちらの勝手な憶測でしかないな」

「憶測かー。深淵って時空がおかしくなっている可能性あるんだよね」

「そうだね」

 


「それってさ、生前というか過去のアンゴルモアが直接現代にに来れるんじゃない?」


 なんてことを言う。なんてことを言うんだ! ちゃんと可能性ある上に色々辻褄を合うんだよ。本当だったら今後どう動いていいかわからんぞ

「困ったもんだねぇ」

 Kはなんかのんびりお茶飲んでいるし、どうにもこうにもならん

「フィクサー殿が『もう誰にも正確な未来を見ることはできない』と言っていただけにあるかもしれないね」


「もうわからない事をずっとこねくり回してもしょうがないんじゃあない?」

「封印できた。後は予言の日に備えるでいいとするわけね」


 男どもの悩みはスパッと切り捨てられた

「まぁそうだけど。それでいいのかな」

「いいの!」

「せっかく来たんだから北海道楽しみたい!」


 テンションの差が。そんなに浮かれてたんだ。でもそうか


『遊ぼう!』


 色々あっても我々は大学生と高校生、滅多にない春の北海道を満喫してしまおう

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モルフェウス・チルドレン 涼葉ジロー @suzuha26

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