ぺい、ぺりぺりり唇はがしたらなにでてくる

体験を元にされてるのかしらん。
皮をめくる場面は主人公の痛みが伝わってくる感じ。
似たような境遇の人には共感を得られる気がする。
良い出来。

自傷行為は、自分の存在を確かめるためにする行為。
自傷行為の原因の根幹にあるのは、親からの愛情不足とよくいわれる。
外的要因からくるストレスである親の愛情不足から自傷行為をしてしまう。
本作は、キッカケの出来事やエスカレートする過程を丁寧によく書けている。

弟が生まれた頃は登場しているのに、その後は父の姿がない。
夕食やラストの登校場面にも出てこない。
赤ん坊に母親を取られて寂しい思いをするのは父親も同じ。
なので、主人公と父親は、母親の寂しさを埋めるために互いに協力することで、自傷行為に走るのを防げたはず。
いくら無関心でも存在感がなさすぎる。
おそらく、単身赴任や出張など仕事に明け暮れ、父親は子供と過ごす時間が充分とれていないのではと考える。
故に父親の子育て不参加が、自傷行為に走った原因の一つにあると考える。

主人公は名前で呼んでほしいといったのは、弟と一字違いだったから。
彼女は、家族の繋がりを求めていたことがよく分かる。
名前を呼んでもらえたことで、ようやく家族になれたのだ。
だったら、父親も物語に加えるべきと考える。
父親は無関心だからこそ、せめて夕食や登校する際に登場させて、母親と一緒に見送る場面で終わっても良かったのではと考える。
今後の父親の行動に期待したい。