第2話
ナカセテクダサイ
女「ねえ・・私たち、もうこれっきりにしよう・・・」
男「え?・・どうして? 俺のこと嫌いになった? それとも、俺何かした?」
<私の中にある真っ黒な淀んだ部分が
想いとは正反対の言葉となって宙(そら)に響いた.
嫌いになったわけじゃない。
きっと、まだ好き。むしろ大好き。
けれど、これ以上近づいたら、お互いの為に良くないって、
もう一人の自分が歯止めをかける。
このままでいいの?>
女「あなたのせいじゃないの。私の問題。もう決めたことだから。」
男「決めた、って・・こっちは訳が分からないよ。いきなり終わりにしよう言われて、はい、そうですか、なんて言えるわけないでしょ? ねえ、なんで? なんでそんなこと・・」
<好きなのに・・こんなに好きなのに・・
でも
報われない想いを救い出してあげるために・・>
男「もう・・・泣くなよ。いいよ、待つから。ちゃんと話してくれるまで。」
<涙とともに、胸の痛みが疼きだす。
こんなんじゃだめだ。
でもなんだろう・・
わかってるはずなのに、
涙がとまらない。>
女「ごめんね。大丈夫。もう泣かない」
男「いや、全然大丈夫じゃないでしょ・・・だってさ、俺のこと嫌いになったんじゃないんだよね? お互いにまだ好きってことでいいんだよね? お互い同じ気持ちなのに、どうして別れなきゃいけないのかな?」
女「好きだから・・・だよ」
男「え? 何それ・・全然わかんないよ。」
女「言葉が足りないのはごめん。でも・・どうしてもうまく説明できなくて・・」
<辛いよ。ほんとに悲しいんだよ。
でも・・・
辛いのは私だけじゃない。
私と一緒にいることで、
あなたはこれからもっともっと辛くなる。
だから・・・・>
男「わかった。泣けよ。泣いていいよ。でも・・・俺は認めないからな」
女「ごめん・・・」
<この悲しみとはもうサヨナラするから・・だから、
せめて今だけは・・・>
女「私、あなたのことずっと応援してた。あなたの夢の話も何度も聞かせてもらった。あなたが夢を叶えることが、私の夢も叶うことになるって、ずっとそう思ってきた。でもね・・」
男「でも?」
女「でも、私じゃない。夢を叶えるには私が居ちゃいけないんだ、って・・」
男「そんなこと言うなよ! 俺にはお前が必要なんだって! 勝手に決めつけんなよ、そんなこと・・俺の夢のせいにもするな! お前が居なくなるくらいなら、夢なんてどうでもいい・・・」
<ほら。あなたはそうやって
いつも投げ出そうとする。
私を頼りにしてたら、
絶対にあなたはダメになる。
だから・・・
その先に輝く大きな光があるって
信じてるから。
あなたには輝く明日があるって
信じてるから。>
女「違う! 私じゃないんだよ。あなたに必要なのは。私なんかじゃないんだ。だから私は遠くからあなたを見てる。たとえあなたがどこで何をしてたとしても、ずっと見守ってる。そうすることに決めたの。お互いのこれからの為に・・・」
<黒いものに押しつぶされそうになって
押さえ込んで小さいままの光ってるやつを一緒に大きくしたい
そう願うだけで
少しは前を向ける気がする。だから・・・>
男「わかった。でもさ、焦って結論を出すことはないよ。しんどいんだよね。ごめんな。
俺、いつも自分の事ばっかりで、お前の話もろくに聞いてあげたことなかったし。
だから・・
だから遠慮しないで心の内を吐き出してよ。自分に嘘をついたってしょうがないもん。
俺、これからちゃんと向き合うよ。お前にも、自分自身にも。どんな結末になっても、もう逃げない。」
女「うん・・お願い。今だけはあなたの胸で泣かせて・・・」
男「泣いていいよ。」
女<明日からはきっと>
男<明日からはきっと>
女<笑って生きていくから>
男<笑って生きていくから>
シナリオ「ナイテイイヨ/ナカセテクダサイ」 高田"ニコラス"鈍次 @donjiii
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