出来る事なら、全くの作りバナシ、嘘バナシであって欲しい本作品ではありますが、なんとも形容しがたいリアリティがありました。設定だけなら、麻雀漫画のネタにもありがちかな、と思いますけど、お父様から何度も聞かされたというその心痛とストレスの描写がドロッとした人の業の臭いに塗れていて、やりきれません。せめて、この話が創作バナシとして多くの読者に読まれる事で、作者様のお父様への手向け、御供養になりますようにと願ってやみません。
SNSではエンジニアのブラックさばかりが表沙汰になっているけど余り表に出てこないこういう業界の裏話も欲しい!
作者様はきっと根が優しい方なんだろうなあと思わせる読みやすい文体で、すらすらと流れるように読めるのですが、内容が生々しい。 それと、実際に被害(?)に遭ったのはお父様だというのに、その場の緊迫感が伝わってくる。 文章を書くのが上手な方なんだな、と思わせてくれる掌編でした。