第3話
はっきりとどんな事を書いたかなんて覚えていない。高校生の時に書いたのだからもう何年も前になる。ただこの景色はどこか妙に故郷に似ていて、居心地がいい。頬を刺す夏風。それすらも感じられた。
キーンコーンカーンコーン
..とチャイムのなる音が聞こえた。その時自分はどうしていいのか分からなかった。俺は明らかに制服を着ていた。すると後ろから足音がした。慌てて振り向くとそこには1人の女性が立っていた。
その女性は夏服のセーラー服を来て、黒髪で白い肌だった。まさに夏が似合うと言ったような感じだった。「何してんの?こんなところで」と話しかけてきた。容姿に見合わない男勝りな口調だった。そして俺は困った。いきなり話しかけられ、よく状況を飲み込めていない。
「......あの、なんか返事してよ。」
「えっと..君は?」出てきたのがこれだけだっ
た。
「は?何ってんの?クラスメイトを忘れたわけ?」少しキレ気味に返される。
(クラス...じゃあやっぱり俺は学校の生徒なのか..)
「とりあえず早く行くよ。遅刻したら私も怒られるし...」
「う、うん」小さく返事をした。
....
ついて行くと少ししたら学校が見えてきた。少し古い学校だが、大きさはなかなかだ。学校に入る。クーラーがついているのかとても涼しかった。かいた汗が乾いていていくのがとても気持ち良い。階段を上がって3年生のフロアらしきところまで来た。
ガラガラ
教室に入る。教室は『3-A』と書かれていた。教室がガヤガヤとしている。人数は30人くらいで普通の教室と言うような風景だった。そして、1人の男子と目が合う。日焼けしていていかにもスポーツマンという感じだった。そいつが席を立ち近ずいてきた。
「おいおいどこいってたんだ?授業あと五分で始まるぜ?」反応に困った。
「い、いやちょっと外に..」とりあえず返事をした。
「変なやつだなー(笑)んで、どーなんだよ。」
「うん?」
「いや『うん?』じゃねーよ。あいつのことだよ。紬のこと。」そう言ってさっきの女子に指を指す。
(紬って名前なのか....)
「どーってどういうこと?」
「いやだからさー。そろそろ告白とかされたんじゃねえの?お前といつも仲良いだろ?」
(........は?)
ペンを捨てて、春に堕ちる @A-oake
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