Adventure (冒険)
Meeting for fortune (運命の出会い)
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「う〜ん、難しいわね」
私は町を歩きながら考える。
目が覚めると、王様からいろいろ説明されたけど、思っていたよりもややこしかったわ。
私はてっきり魔王を倒せばいいと思っていたのに、先代勇者佐藤のせいでそうはいかなくなったらしい。
よくあるゲームみたいにズバズバ倒しちゃダメだなんてつまんな〜い。
「もう……帰りたいな」
でも、帰り方がわからない。
そもそもどうやって来たの?
「も〜! なんなのこのゲーム!?」
「わっ!」
すぐ近くで誰かが驚いた。
考え事に夢中で気づかなかった。
「あ、すいません!」
突然大声出したら、驚くよね。
まずは頭を下げる。
そして、その人の顔を見ると。
「なんやあんさんお悩みがありそうやな」
関西弁っぽく喋っているのは……。
「キツネ!」
「ああ、これか?」
「本物やで〜」
頭でピコピコ動いている!
「ほら、触ってみぃ!」
私の手を取って、強引に触らせる。
「わ〜! モフモフ〜!」
「せやろ? 毎日ブラッシングしてんねん」
「気持ちいい〜」
「いつまでも触ってると、お金取るで?」
「あ、ごめんなさい!」
再び謝る。
「も〜、あんさんは真面目やな〜」
「せやから、悩んでたんちゃうか?」
「あはは……」
「よかったらウチが聞いたるで」
「え……」
どうしよう。
でも、初対面の人に……。
「タダやで、こんなチャンスめったにないで」
「タダ……」
その言葉を言われると、気になる。
「それじゃあ……」
「よし、決まりや!」
「こっち来てみぃ!」
私は路地裏に連れて行かれる。
……やっぱりヤバい人だった?
ドキドキしながら薄暗い道を歩いていると、小さな灯りが見えた。
「ここがウチの隠れ家……やなくて仕事場や」
「へー……」
こんなところにお店を。
なになに「ミドリーの占い館」?
「ほら、入って入って」
ドアを開けると、きれいな鈴の音が響く。
「いらっしゃいませ〜」
ミドリーが軽快に声を出す。
ぼんやりとした間接照明に照らされる部屋の中央には、簡素なテーブルと椅子が置いてある。
「ささ、座って座って」
言われたとおり、椅子に座る。
ミドリーもテーブルを挟んで向かいに座った。
「ほな、まずはこのカードの中から……」
ミドリーはカードの束をシャッフルしている。
あれって、タロットなのかな?
「はい、どれか選んでな〜」
テーブルに裏返しで並べられた何枚かのカード。
「う〜ん、じゃあこれ!」
適当に選ぶ。
「ふむふむ、なるほどな〜」
カードを表にして、絵柄を見るミドリー。
なにがわかるのかな。
「あんさんが選んだんは、勇者のカード」
「勇者のように振る舞えばええってことや」
「え?」
全然意味がわかんない。
「わからへんって顔してるな?」
「つまり、先代みたいにパートナーを見つけて旅に出なあかんのや」
「パートナー?」
「そうや〜、先代勇者様にはそれはそれは素敵なパートナーがおったんや」
「へ〜……」
勇者に、パートナーかー。
「あんさん、信用してへんな?」
「え、いや、そんなことは……」
あるかも。
「い〜や、顔がそう言っとるで」
「しゃ〜ない、ウチも自分を占ってみるわ。これで信用できるやろ」
できるかな?
再びカードをシャッフルするミドリー。
そして、そこから一枚選ぶ。
「これや!」
なんのカードが出たのかな。
「ははあ〜ん、なるほど、けったいやな〜」
ミドリーはニヤニヤ笑っている。
「なにを引いたんですか?」
「ウチはシャロールにならなあかんみたいや」
「シャロール?」
誰だろう。
「さっき言うてた勇者のパートナーや」
「パートナー……」
「ウチが引いたんは、伴侶のカード。勇者とペアを組む人がこのカードを引くんや」
「え……私って勇者でしたよね?」
つまり……。
「せやねん、あんさんはウチとパートナーを組む運命やねん!」
「運命……!」
「よし! そうと決まったら話は早いで〜!」
「え、なにをするんですか?」
「決まっとるやろ、旅や旅!」
ミドリーは、そこらへんにある荷物を掴んで、カバンに入れる。
「ほら、はよ行くで〜!」
手を引っ張って、店の外に連れて行かれる。
「ああ!」
なんだかすごい人に出会ったなぁ……。
Re 異世界転移していない!? ここは-システムエラー-界らしいです~ちょっとおかしなゲームを攻略しなきゃいけなくなりました~ 砂漠の使徒 @461kuma
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